適材適所の雑談

適材適所の雑(御井浦 のえ著)

なぜ? 反応が違う!!

「雑談」といえば、自分の体験や自分が見聞きした物事について話すことが多いかと思います。それはもちろんそうですが、雑談をしていて気づくことがあります。

 

1組では大いに盛り上がり楽しんでもらえた話が、2組ではあまり受け入れられずほとんど反応がない…

 

というふうに、クラスによって反応が違うということです。正直同じ話を同じように話しているのにこうまで反応が違うのかと驚くこともあります。

 

なぜそうなってしまうのか?

 

実は、雑談は漫然と、同じ話を同じように話していてはいけないのです。ではどのようなことに気を付け、どのように話せばいいのでしょうか。

 

クラスは千差万別

偶然集まったクラス、選択科目や志望によって集まったクラス、そして成績順のクラス。

 

どのようなクラス編成でも活発で発言も多くいわゆる「ノリの良いクラス」もあり、それとは反対におとなしくあまり反応のないクラスもあります。

 

同じ「活発」と言っても、話に乗ってきてくれるクラスもあれば、自分たちで騒ぎたいだけで授業も雑談も聞いてくれないクラスもあります。

 

もちろん、「大人しい」にも、反応はないけれどその姿勢や視線から真剣に話を聞いてくれるクラスもあり、「心ここにあらず」というクラスもあります。

 

クラスにどのような生徒がいるか、男女比はどうか、どのような話を好むのか。

 

これをある程度把握しておく必要があります。そして、次のことはよく見極めてください。

 

本当に今その雑談が必要か、適切か

 

性差で話し分ける。

以前勤務していた学校の女子だけのクラスでは、次のような話が好まれたように思います。

 

「先生の高校生のときの恋の話して!」

 

授業で恋愛の短歌を取り扱ったときに言われた言葉です。

 

まだ若く「授業中にこんな話してもよいのかな…」と不安に思いながら話しましたが、普段元気で授業中も大きな声で発言する生徒も、時に授業中寝てしまう生徒も、興味津々で聞いてくれたのを覚えています。

 

女子しかおらず、男子クラスともあまり交流がないけれど、でも恋愛には興味がある!

 

という気持ちから、私の高校時代の話と自分を重ねようとしたのでしょう。

 

しかし残念ながら私には特別話せるような話はなく、仕方ないので小学生の時の初恋の話を簡単にしてお茶を濁しました。

 

さらに、授業内容に関係ある雑談として平安貴族の生活の話をしたときは私自身が話の内容に迷うことがありました。

 

女子クラスでは同性なので、平安貴族のトイレ事情などもある程度話せますが、男子クラスでそのような話をすることには私自身抵抗があり、また教えなくてもいいかなと思うと結局男子クラスではその話をしませんでした。

 

それとは逆に、男子クラスで男女間の恋愛の内容を含む小説を扱った際は、授業内容の時点からあまり興味がない様子で、ここぞとばかりに恋愛に関する雑談を挟んでみましたが、さらに反応が鈍くなり困りました。

 

しかし、同じクラスで戦争の話を扱ったときのこと。

 

戦争当時の生活状況などは国語便覧などで把握させたのですが、以前沖縄を訪れたときに戦争に関する場所を訪れたので、そこで学んだ話やそのとき私が感じた話をしました。

 

最初は面白くなさそうに便覧をペラペラめくっていた生徒たちが、沖縄戦の最後の最後の話になってくるころには険しい顔で真剣に話に聞き入ってくれていました。

 

恥ずかしい話、このクラスで生徒がここまで集中し真剣に話をしてくれたのは後にも先にもこの一回きりでした。

 

ですが、非常に有意義な時間でした。

 

卒業後に学校訪問した生徒と偶然再会した際に「先生のあの話を聞いて沖縄に行った」と言われたときは、とても嬉しく思いました。

 

男子クラスか女子クラスかで好む話や好まない話があります。しかし、注意してほしいことがあります。一口に「性差」といっても、いろいろな性を持つ生徒がいますから、上記はあくまで一例です。

 

普段からよく様子をみて、配慮を忘れないようにしましょう。

 

集中できる時間で話し分ける

学校の中でもあまり成績の良くないクラスは集中力が途切れがちなことが多いです。

 

「座席には座っていても、心はここにない」という状態の生徒が多々います。

 

そんなクラスではある程度授業を進めたら、休憩がてら少し雑談を挟むようにしています。

 

もちろんすでに集中力を失っているので、寝ていた生徒は「なんだ、関係ないを話しているのか」と、さらに深い眠りに落ちてしまう危険もあります。

 

そんなときは、こちらができるだけテンションをあげ、話を盛り上げると、少しクラスのどんよりとした雰囲気が回復することもあります。

 

それとは反対に集中力があり、成績上位のクラスでは特に慎重に雑談を挟みます。

 

というのは、まだ新人の頃、良かれと思って同じ話を同じように多くのクラスでしたとき、このようなクラスの生徒から冷たい視線を浴びたことがあります。

 

「そんなことはいいから、早く授業の続きをしろ」

 

という無言の圧力を感じました。望まれない雑談は控えようと反省した出来事でした。

 

自分で「これは面白い体験だった」と思い、話して生徒が何かしら反応を見せてくれるのは嬉しいものです。

 

気を付けるべきことは多々ありますが、ぜひクラスの様子や生徒の反応を見て、生徒にとって有意義で楽しい雑談を!

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