配慮の雑談

配慮の雑談(御井浦 のえ著)

それぞれの生徒たち

日々いろいろな出来事がある中で、「この話を雑談として生徒にしよう!」と思うことがあります。

 

私がよくする話は「家族の話」です。

 

  • 両親からの無償の愛
  • 兄弟姉妹と切磋琢磨したこと
  • ペットとの出会いと別れ
  • 祖父母から大切にされた記憶・・・

私自身、中学生や高校生の時には気づけなかったけれど、成人し仕事をし始め、そして自分の家族が出来てから知ったことや気づいたことがたくさんあります。

 

まだ若い生徒たちもいずれ私たち教員と同じ年齢になり、同じ気持ちになることがあるかもしれません。

 

生徒たちより早く人生を歩んでいる我々教員から、何か人生について少しでも気づいてもらえることがあればと思い、いろいろな話をします。

 

しかし、頭の片隅においておかなければならないことがあります

 

それは「教室には様々な境遇の生徒がいる」ということです。

 

父親のいない生徒や母親のいない生徒。いない理由も様々です。死別したという生徒もいます。

 

私自身、生徒の保護者の方の葬儀に参列したことが何度もありました。

 

亡くなられた理由も本当に色々です。亡くなられるだけでも悲しいのですが、聞くのがつらい理由の時もありました。

 

葬儀の会場で、まったく涙を見せない生徒に、「無理しないで」と声をかけたときのことです。

 

「お母さんがずっと泣いているから。弟と妹も小さいし・・・私がしっかりしないとだめなんです」と悲しい笑顔を見せた生徒もいました。

 

またご両親の離婚によって、どちらかの保護者の方と一緒にいられない生徒もいます。生徒本人とご両親との不仲のために、家を出て祖父母の家で暮らす生徒もいます。

 

雑談をする際は、教室の中にいろいろな境遇の生徒がおり、またそのことについて個々の生徒の思いがあるということを必ず頭の片隅においてください。

 

自分の経験をもとに話をするのは構わないと思います。

 

しかし、その際に自分の経験を「普通」「当たり前」と思って話さないことです。
あくまで「私個人」の世の中の「一例」であるというような話し方を心がけましょう。

 

教員はチーム

生徒にウケる雑談として「失敗談」があります

 

  • 自分自身が高校生の時に担任の先生に叱られた話
  • 旅行中にやってしまった恥ずかしい話
  • 大学生の時の情けない話

 

いわゆる「自虐ネタ」のようなものもうまく話せば笑いが起こり、教室が朗らかになります。

 

よって、私は日々の生活の中で失敗をしたとき、「あ、この話今度授業中に生徒が疲れてきたときにしよう!」とか、「朝礼の小ネタとして話そう!」と思うことが多々あります。

 

しかし、決してしてはいけないのは「同僚である教員仲間を貶めるような話」です。

 

教員同士でいるときの顔と、授業中の顔が違う教員もたくさんいます。

 

どちらの顔も魅力的な教員が多いですが、しかしながらご本人は「教員同士の時の顔はOFFの顔だから」と生徒に知られたくないと思っておられる場合もあります。

 

どんなに面白いことでも、そういう教員の方針への配慮は必要でしょう。貶めるつもりがなくても、結果的に貶めることになってしまうからです

 

また、当然のことですが、もともと悪意を持って教員の失敗談を話すということは決してしてはいけません。

 

過去にA先生、B先生という非常に仲の悪い教員がいました。

 

A先生がB先生の生徒からの評価を下げようとして、あろうことか学年集会でB先生の失敗談を話したことがありました。

 

一部の生徒は「B先生最悪・・・」と非難し、一部の生徒は嘲笑にも似た笑いを起こしていました。

 

また、一部の生徒は冷ややかな目をしていました。その冷ややかな目はA先生に対してです。

 

「大人なのに公衆の面前でB先生を馬鹿にするような話をするなんて・・・A先生ありえない」
というものでした。

 

貶められたB先生は生徒からの評価を下げました。そして、A先生は生徒からの信頼を失いました。もちろんA先生とB先生の関係は最悪のものとなりました。

 

しかし、一番困ったのは周りの教員です。

 

A先生とB先生の関係悪化で仕事がやりにくくなり、また周りの教員たち自身もA先生やB先生に話しかけにくくなったのです。

 

私自身もA先生が話をしているときの何とも言えない意地悪な表情が忘れられず、なんとなく以前のように親しげに話しかけるのが難しいと感じてしまいました。

 

教員は個々人でも活動しますが、やはりチームワークが最も重要です。

 

ともに働く仲間として、お互いを尊重し高め合えるようにしたいものです。

 

生徒、そして教員への配慮を忘れずに、生徒が何かを感じてくれる雑談をしてみましょう!

 

 

 

 

 

 

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