生徒を勇気づけて英語学習のモチベーションを上げる話1

生徒を勇気づけて英語学習のモチベーションを上げる話1

生徒を勇気づけてモチベーションを上げる話

 

英語の学習はもちろん、何かを身に着けたいとか達成したいという目標を掲げて挑戦するとき、そもそもその挑戦に対するモチベーションを上げ、気持ちを維持し続けることは、学び以前に重要なものです。

 

しかし、誰もが常に高いモチベーションを持って挑戦を続けられるわけではありません。

 

失敗や、なかなか結果が出せない辛さの中でついあきらめの気持ちを持ってしまったり心にブレーキをかけてしまったりすることは、人間の心理としては当然のことです。

 

そしてそのマイナスの心理が意欲を損ない、継続的で効果的な学びの歩みに悪影響を与えてしまいます。

 

これは学習者にとっても、私たち指導者にとっても、決して望ましいことではありません。

 

もちろん、誰かの代わりに食事をとったりトイレに行ったりできないように、学習や挑戦を続けること自体は学習者の仕事ですから、私たち指導者が肩代わりすることはできません。

 

極論を言ってしまえば、モチベーションや意欲を持つ主体者は根源的には学習者であり、そこに指導者の責任は無いのです。

 

そもそも知識も方法論もモチベーションも、何もかも誰かに頼りすぎる受動的で自発性を欠いた学習姿勢が良いことではないことはご理解いただけると思います。

 

しかし現実的なことを言えば、指導者の発言や態度が学習者の心理にプラスにはたらきかけることは多々あります。

 

分かりやすい解説や興味深い知識が興味を掻き立てることも、あるいは指導者の優れた技能に感心した生徒が「この先生のようなレベルになりたい」という気持ちを抱くこともあります。

 

これは指導を通じた結果論ではありますが、一方で、指導を通じて学習者のモチベーションに影響を与えることができるのであれば、教える事柄の中身や方法論とは別に、あえてそれを目指した言葉や、ここぞというタイミングで投げかける話などを持っておくことも、学習者を成功に導くための大切な要素として、仕事の一環として心得ておいても良いのではないでしょうか

 

この項目では、実際に私が生徒たちのモチベーション向上のために語りかけている言葉や話を紹介していきます。

 

 

「4分間の壁」

 

今から半世紀以上前、1954年の5月まで、人々の間にはある「一つの常識」がありました。

 

「4分間の壁」と呼ばれたその常識は、歴史上幾多の挑戦にも関わらず誰も打ち破ることのできなかった壁であり、ゆえに人類には決して達成することができないものであると当たり前に受け入れられていたものでした。

 

その壁とは、「1マイル(1.6キロメートル)の距離を4分間以内で走ること」。

 

その日が訪れるまで、「4分間の壁」はエベレスト登頂よりも難しいとさえ言われ、人々はこれを打ち破ることなど人間の身体能力的には絶対に不可能であると認識し、「できる」という可能性を全く考えていませんでした。

 

しかし1954年の5月、ロジャー・バニスターというイギリスの選手が人類史上(公式記録として)初めてこの壁を打ち破ることに成功しました。
この偉業に人々は大いに熱狂したことでしょう。

 

そしてそのわずか1か月半ほど後、今度はオーストラリアの選手がバニスターの記録を打ち破り、さらにその後の1年足らずの間に、なんと20人以上の選手が「4分間の壁」を打ち破ることに成功しました。

 

それ以来現在に至るまで、高校生も含めて実に2万人を超える人々が「4分間の壁」を打ち破ることに成功しています。

 

バニスターの成功を境に、「不可能という常識が、十分に実現可能という常識へと姿を変えた」のです。

 

 

人々の間で一体何が起こったのでしょうか?

 

それまで幾多の挑戦者がことごとく失敗していたことが、なぜあの日を境に数え切れないほどの成功者を生み出すことへと変化したのでしょうか?

 

 

その答えは、人々がある事実を認識したことにあります。
 
それは、「不可能という常識は、実は不可能などではなかった」という事実。
 
そして
 
「誰かにできたのならば、自分にもできる可能性があるのだ」という事実です

 

 

つまり人間は、「できないという思い込み」によって能力を縛り付けられるのであり、逆に「できるという可能性の認識」によって能力を最大限に引き出すことができる生き物であるということなのです。

 

 

足を向ける心のきっかけを与える

 

己の夢の実現によってその他の人々の心理的枷を取り除き、多くの人々の夢の実現に貢献したバニスターの事例は現在でもアスリートなどのメンタルトレーニングの分野でよく取り上げられるのですが、私は英語の指導に際して、苦手意識を持っている生徒や、自分には英語が向いていないとか、それこそ自分は英語ができないと思っている生徒、そしてこれからの学習に楽しみよりも不安を抱いている生徒たちに向けて、折に触れてこの話をします。

 

 

合わせて、「そもそも人間は、本当に絶対に不可能なことなどはじめから挑戦しようとはしない」ことも付け加えます。

 

「100メートルを3秒で走る」とか、「1日で世界中の言語を全てマスターする」とか、そのようなことははじめから誰も考えることすらしません。

 

「できる可能性」をわずかにでも信じているから挑戦するのです。

 

その意味では「4分間の壁」は、失敗を重ねた多くの人々にとっても、実のところ決して不可能なことでははじめからなかったのでしょう。

 

しかしそれまでは「できなそうだ」という認識の方が人々の間では強かった。

 

だからこそ「4分間の壁」は常識となって立ちふさがり、幾多の挑戦者をはねのけた。

 

しかしそんな中にあって恐らくバニスターは誰よりも「できる可能性」を信じていたのではないでしょうか。

 

だからこそ成功した。

 

そしてバニスターの成功を機に、まさに「できなそうだ」が「できること」に変わり、爆発的に成功者を生み出した。

 

(もちろん、スポーツ科学の発展が寄与した部分も大いにあるでしょう。バニスター自身、当時の最先端科学を取り入れたトレーニングや自己分析を通じて記録を伸ばしたと言います。しかし多くのアスリートは科学よりも己の熱意ややる気をモチベーションとして競技に取り組んでいることは確かではないでしょうか。心理的影響は計り知れないのです。)

 

 

陸上競技などの身体的能力に限らず、英語学習という知的能力が求められることにさえ、この「できる」という前向きな心理は影響を与えます。

 

なぜなら、「できる」心理が「机に向かう」とか「教科書を開く」とか「音読練習をする」とか「先生に質問に行く」とか、実現に向けた前向きで具体的な行動を促すことに繋がるからです。

 

苦手意識を持っている生徒の「苦手」や「できない」という認識は、実のところ自分の中だけに存在するものでしかありません。

 

周囲の人間や指導者は誰も「お前には絶対にできない」などとは言わないのに、彼ら自身が「できない」と自分に蓋をして結論付けてしまっているケースがほとんどです。

 

そしてそうした生徒ほど、苦手の対象と向き合いたがらず、足を遠のけてしまうものです。足が遠のけば成果が上がらず、力が伸びないのは当然のことです。

 

ですから、バニスターの例に見たように、「あいつにできるならきっと自分にもできる」のように、自分の外に目を向けさせ、可能性を認識できるように仕向けなければなりません。

 

自分の外に目を向けさせ、そして英語に足を向けさせる心のきっかけを、このような話を通じて作ってあげることが大切なのです。

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