英語学習における音読の効果を得るために必要な3つのポイント

英語学習における音読の効果を得るために必要な3つのポイント

音読の効果を得るために必要な3つのポイント

 

 

英語は言語である以上、その本来の姿は音声です。

 

そして音声を体現する音読は、文章自体を頭の中に取り入れることだけでなく、その発音やリズムを通じて英語の流れとその裏側にある感性を直に自分の中に取り込むことにまで効果を発揮します。

 

目で追うだけでなく、実際に発話してみることで「なるほどこれが英文を話す人間の感覚なのか」ということを身に染みて定着させることができるのです。

 

 

ところが、普段から音読を心掛けているにもかかわらず、いつまで経ってもまるで英語力が向上したとは感じられないという人がいます。

 

確かに音読の効果が表れるまでには、個人差はありますが、少なくとも数か月から場合によっては数年という長い時間がかかります。

 

それでもまるで効果を得られた実感が沸かないという方は、音読をする上での重要なポイントが抜け落ちてしまっている可能性があります。

 

そうした場合指導者は、そのポイントを押さえて改めて指導し直す必要があります。

 

 

音読の効果を得るために必要なポイントは、大きく3つあります。

 

①まず、音読をする前に、一つ一つの英文に対する理解を完全なものにするということです。
文構造の成り立ち、語彙の意味、フレーズごとのまとまりの意味、文章全体の意味、これら全てをまずはきちんと理解、把握することです。

 

②理解した文章を、正しい発音とリズムで読むことです。

 

③相手に伝えようという意志を持って音読することです。

 

 

完全に理解した英文であっても、完全に理解したままの意識でもって音読していなかったり、正しい発音を心掛けずにいたり、相手の存在を想像せずにただの音として漠然と読もうとしたりしてしまうとあまり効果は得られません。

 

 

私たちが母語である日本語を話すとき、自分が何を喋っているのか分かってもいないものを話すことはありません。

 

伝えたい内容を、伝えるに足る適切な文法と語彙を用いて、正しい発音で、相手に伝えようという意志を持って話しているはずです。

 

前項で述べた「母語話者の無意識の音読」も、無意識レベルで行われながらも、これらのポイントを決して外してはいません。

 

 

これら3つのポイントは、母語話者が当たり前に行っている発話という活動を成立させている最低限の要素です。

 

仮に、(以前にも同じことをどこかの記事で書いたかもわかりませんが)自分の全く知らない言語、例えば私の場合であればアラビア語やアフリカの少数民族などの言葉を、その発音だけ教わったとしても、それをただ音読しているだけでいつか自動的に意味が分かり相手に気持ちを込めて伝えられるようになるわけでは絶対にないことは容易に想像できます。

 

それと同じで、意味のよく分かる文章を相手に伝えようとするからこそ音読の意味があるのです。

 

ですから、英語の非母語話者である人間が訓練するときは、これらのポイントをやはり「意識的に」取り入れて音読をすることが重要となる、ということです。

 

 

簡単な英文から英語の呼吸を感じ取り、表現する音読を心掛ける

 

ここで、試しに次の文を用いて練習してみましょう。

 

I am a student at the university.

 

「私はその大学の学生です」という訳があてられる文章です。

 

しかし、大切なことは「日本語訳」ではなく、文法や語彙によって表される、語順に従った英語としての意味の流れをまずは完全に理解することです。

 

文の骨組(文型や構文)の理解はできていますか?
では一つ一つの単語の意味はどうでしょう?
“I”とは何ですか?
“am”は何を表すのでしょう?
“a”を発話した瞬間に何が頭の中にイメージされますか?
“student”とは誰のことでしょう?
“at”は何を示しますか?
“the”は“a”では駄目なのでしょうか?
“university”とは何ですか?
全ての単語を正確に発音できますか?
語と語のつながりや消失を音で表現できますか?
あなたは誰に向けてこれを発言しようとしているのでしょう?
情景を想像しながら、不自然な意味の句切れとならないよう、センスグループごとに文意に合うイントネーションとスピードで音読できますか?
そこに感情を乗せられますか?

 

 

英語の文構造も語彙も発音も日本語には存在しないものです。

 

自分の言語に存在しないものを読んだり発音したりしようというのですから、この程度の文であっても、決して容易すぎて練習に値しないなどと捉えないでください。

 

特に学習初期の中学生に対する音読指導では、これくらい細かく指導することで音読の重要性を理解してもらうことも必要ですから、指導者が安易な考えを持つことは避けなければなりません。

 

とりわけ発音は、間違ってもカタカナに置き換えようなどと考えてはいけません

 

楽な発音を求めてカタカナに置き換えようとした瞬間、それは遠回りで何も身に付かない方向へ自分も生徒も導いてしまうことになってしまいます。

 

英語ですから英語の発音をしなければなりません。それが最短です。
(そのためには発音記号も知っておくことが理想的ですが、とりあえずはCDで実際の発音を真似するように声を出すところから始めてかまいません。なお、様々にある音読の方法についてはまた別の機会に譲ります。)

 

細かいようですが、これら全てを理解、認識、イメージできた上で正しい音読をしてこそ、その効果は劇的に表れます。

 

音読とは、英文に対する完全理解と正しい発音の上でしか役に立たない練習だと思っていただいて差し支えありません。

 

ただ、正しい発音とは言っても、これについては必ずしもアメリカ英語である必要はありません。イギリス英語である必要もありません。ネイティブスピーカーと同レベルの発音を求めているわけではないのです。

 

少なくとも発音記号に基づき、音の連結や消失を自然に表現し、相手に伝えるという意志のもとで適切なイントネーションで音読することができれば十分です

 

私の英語の発音はアメリカ英語的で大変聞き取りやすいとよく言われますが、指導の際には「英語らしい音」に気を付けているのであって、「アメリカ英語の発音」を指導しようなどと考えたことは一度もありません。

 

 

音読の先にある、さらなる効果

 

「読む・書く・話す・聞く」という言語の4技能には包含関係というものがあります。

 

4つの技能は大きくはインプット(読む・聞く)とアウトプット(書く・話す)の二つの側面で捉えられます。

 

それらをバランスよく指導することが必要であると言われますが、それは4技能を同じ割合で指導しなければならないということではありません。

 

たとえば4時間の授業があるとして、それぞれ2時間ずつインプットとアウトプットにあてて指導するというような意味ではないということです。

 

それよりも、4つの技能が互いにその力を生かしながら連動していることを踏まえて、結果的に4技能がバランスよく獲得できるようにしなさい、ということです。

 

4技能の連動というのは、「自分で発音できる音は聞き取れる、自分で聞き取れる文章は(少なくとも発音上は)言える、自分で言える文章は書ける、そして自分で書ける文章は読み取れる」ということです。

 

逆に「自分で発音できない音は聞き取れない、自分で聞き取れない文章は言えない、自分で言えない文章は書けない、そして自分で書けない文章は読み取れない」とも言えます。

 

 

言語の本来の姿は音声であると冒頭で述べました。

 

この4技能の連動を見ても、音声にこだわった正しい音読が英語力向上に重大な役割を果たすことがお分かりいただけるのではないでしょうか。

 

バランスの取れた4技能の獲得のためにも、音読は効果を発揮してくれる、ということなのです。

 

 

最後に余談ですが、かつて「同時通訳の神様」と呼ばれた國広正雄先生という方がおられました。(残念ながらすでに亡くなられています。)

 

この國広先生も「意味のよくわかる英文を繰り返し繰り返し、ただひたすらに音読する」ことを生前より勧めておられました。

 

國広先生ご自身は中学生のときから1つの長文につき500回~1000回音読していたそうです。さすがに1000回は難しいかもしれませんが、少なくとも一つの文章につき100回~200回程度は音読する(させる)ことを現実的な目標にしてください

関連ページ

なぜ英語学習において音読をするのか?
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語学習で何を音読するか?(中学・高校)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語学習で何を音読するか?~大学生・大学院生・社会人・英語教師
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
進度の速い英語授業vs.音読を取り入れた遅い授業
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
進度の速い英語授業vs.音読を取り入れた遅い授業
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語の音読訓練のための環境作り(前編)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語の音読訓練のための環境作り(後編)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語は日本語の都合など知ったことではない1(音読の約束事)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語は日本語の都合など知ったことではない2(易しい文の音読から感覚を磨く)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語は日本語の都合など知ったことではない3(語順の原理)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読指導の手順1
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読指導の手順2
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読指導の手順3
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読指導の手順4
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読指導の手順5
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読の手順の補足とその他の方法論
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。