英語音読指導の手順4

英語音読指導の手順4

英語音読の手順④(他人の英語を自分のものにする)

 

 

音読活動に用いる英文は既存のもの、つまり他人の英語であり、生徒が自分で作り出したものではありません。

 

①~③の手順では他人のものとしての英文を練習してきましたが、ここから先はそれを自分のものとするための活動になります。

 

用いる素材は同じですが、他人の英語を自分のものへと転化するために、徹底的に他人の英語をまず身に付ける必要があるのだと伝えてください。

 

 

「学ぶは真似る」とよく言います。

 

私自身、この考え方によって他人の英語を自分のものへと転化し、自身の英語力アップに生かしてきました。

 

以下の方法を通じて、「完全なる真似」を目指すのです。

 

 
●シャドウイング

 

ここにきてようやくシャドウイングの登場です。

 

これまでの方法と大きく違うのは、シャドウイングはスクリプトを一切見ないで行う活動だということです。

 

CD音声を流し、聞こえてきた英語をそっくりそのまま真似をしながら後からついていきます

 

だいたい2、3単語くらい遅れてついていくのが理想的です。

 

そしてこれを行うためには、音への集中力を最大限に高めなければなりません。

 

 

ここまで何度も音読をしていますから、生徒たちはある程度英文を覚えてしまっています。
だから意味がないのではないかと思われるかもしれませんが、違います。

 

自分はこれまでに発音を練習し、意味もよく分かっている。
だからこそ正しく聞き取ることができるのだという当たり前の言語能力の確認ができることに意義があるのです

 

 

何の下準備もなく、突然シャドウイングを行わせる教師がときどきいます。
シャドウイングという言葉の流行により、いきなりこれを実践する学習者の方も少なくありません。

 

もしも心当たりがあるのであれば注意してください。

 

シャドウイングは身に付けた英語力の確認をベースに、さらなる定着と向上につなげるために行うものであって、突然取り組むべき活動ではないのです。

 

中級から上級レベル程度の英語力が付いてくると、いきなりシャドウイングを行うことも良いでしょう。

 

しかし、初級者や高校生くらいの、ほとんど技能訓練を行ってこなかった学習者にとっては、いきなりのシャドウイングは難易度が高すぎる練習であることを良く知っておいてください。

 

 

さて、やり方を説明したら早速やらせてみましょう。

 

音に集中し、聞こえてきた英文の意味も理解しながら、あたかも自分がその英語を生み出し相手に伝えるために喋っているかのようなイメージで行わせてください。

 

最初のうちは音を追いかけることだけに必死になるかもしれませんが、それでも構いません。
徐々に意味も取り込んで読むことができるようになることを目標とさせてください。

 

 

●Read and Look Up

 

シャドウイングの次は、再びスクリプトを手に持たせてください。

 

ここで行うRead and Look Upという活動は、さらに英文を頭と身体に沁み込ませるために行うものであると伝えてください

 

 

やり方は、まず教師が「Read」と全体に向けて指示を出します。

 

生徒はスクリプトに目をやり、意味の句切れのまとまり、または一文全体を黙読します。声には出しません。

 

次に教師は「Look Up」と指示を出します。

 

生徒はスクリプトから目を離し、顔を上げて今黙読したばかりの英語を声に出して読みます。

 

つまり、黙読の間にそのフレーズや英文を暗記させるのです。

 

そして暗記したばかりの短い発話を、シャドウイングのときと同様に、あたかも自分の英語として相手に伝えているイメージで音読させるということです。

 

通訳読みのときに使用したプリントを用いて1行ずつ行ってもいいですし、文頭からピリオドまでの一文まるごとを一まとまりとして行っても構いません。

 

使用している英文の難易度や長さ、生徒の様子などに応じて適宜教師が判断してください。

 

 

生徒の発言聞いて、再び「Read」と指示を出し、次のフレーズや文を黙読させ、「Look Up」でまたこれを発話し、同じことを最後まで繰り返していきます。

 

 

Read and Look Upの時点で、最初のリッスン&リピートから数えてすでに数十回は音読していますから、一文まるごとを一単位として行ってもそれほど苦にならないかもしれません。

 

繰り返しますが、英文を自分のものとして頭と身体に沁み込ませ、自分のものとして発言させることが最大のポイントです。

 

身振り手振りを用いたり、感情を声に乗せたりすることを意識させるようにするとますます生徒は英語らしさ溢れる音読ができるようになります。

 

 

Read and Look Upをもって、一通りの音読訓練は終了します。

 

しかしクラス内での活動にはまだ続きがあります。

 

音読によって自分が正しく発話できるようになることが、いかにリスニングにおいても効力を発揮するかということを確認するための活動を行わなければなりません。

 

さらに、ここまではまだ既存の、他人の英文を自分のものとするための通過点ですから、いよいよ自分の英語へと昇華させていくための活動も行わなければなりません。

 

次項では、「50分間まるごと音読」の総仕上げとして行う活動をご紹介します。

 

50分間まるごと音読メニューの一覧(PDF)ダウンロードはこちらをクリック!

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