英語音読指導の手順3

英語音読指導の手順3

英語音読の手順③(語順に従う意味にとことんこだわる)

 

 

リッスン&リピートとオーバーラッピングでは音声面にとことんこだわりました。

 

ここまでで生徒の口はかなり動くようになっています。

 

 

●通訳読み

 

では次は、気持ちを切り替えて意味にこだわる音読をすることを伝えてください。

 

そのために行う活動が通訳読みですが、これには事前に別途専用のプリントを用意しておかなければなりません。

 

どのようなプリントかと言うと、ページの左側に意味のまとまりごとに区切った英文、右側にその日本語の意味が書かれたプリントです。

 

例:
Mr. Jones is a teacher    ジョーンズ氏はある先生です
who teaches English     誰かと言うと 教えるのです 英語を
at ABC high school.     ABC高校で。

 

このプリントははじめから配布しておいて、リッスン&リピートとオーバーラッピングで使用してももちろん構いませんが、ある程度細かく区切っているため、文全体を読むオーバーラッピングでは見づらいかもしれませんので注意してください。

 

またこのプリントには、ターゲットとなる文法項目箇所やイディオムなどに線を引いておいたり、太字にしておいたりするなど、重要なポイントが見てすぐ分かるようにしておく工夫もできます。

 

 

さて、プリントを配布したら生徒をペアにしてください。

 

ペアのうち、どちらか片方(A)がプリントを持って英語を読む役とし、もう片方(B)はプリントを伏せた状態で何も見ないようにと指示してください。

 

スタートの合図で、Aの生徒が英語を発音していきます。
Bの生徒は、聞こえた英語を日本語の意味に直していきます。(Bの生徒は日本語しか発言しません。)

 

Aの生徒はBの日本語を聞いて正しい日本語の意味がとらえられているか確認していきます。間違っていればすぐにその場で指摘させます。

 

これを一行ずつ行い、最後まで到達した時点で終了です。

 

その後役割を交代し、再び同じことを行わせます。

 

要は英語話者(A)とその通訳者(B)になったつもりで、意味をしっかりと確認しながら音読させていくのです。

 

ここで大切なのは、Bは語順に従った意味を答えることです。日本語としては多少不自然であっても、英語の語順の流れを大切に、意味を頭から理解していくことが重要なのだとしっかりと伝えてください。

 

最初はゆっくりでも構いません。十分な時間を取って行ってください。

 

一通り終われば二週目に入ります。

 

再び同じことをするわけですが、今度はスピードにこだわる意識を持つように指示を出してください。

 

制限時間を設けても良いでしょう。

 

とにかく、聞こえた英語を即座に素早く日本語の意味に直させ、英語への反射神経を鍛えていくのです。
これをクイックレスポンスと言います。

 

(覚えた単語の確認の際なども、このクイックレスポンスの考え方で確認させると良いです。単語を聞いて、「えっと・・・ああ・・・」などと言い淀んだり、「あ、思い出した!」などと時間がかかったりしているようではその単語が定着したとは言えません。)

 

 

もちろん実際の英語力としては「日本語を介さない英語力」を目指さなければなりません。
しかし日本語を使っても「えっと・・・あれ・・・何だっけ・・・?」などと理解が定着していないようでは日本語を介さない英語力には到達できません。

 

ここでは、まずはしっかりと語彙や表現やフレーズの意味を正確に理解しイメージすることを目指していますから、まだ日本語の力の助けを借りている段階だとご理解ください。

 

なお、日本語を即座に答えられなくても、頭の中ではしっかりと意味がイメージできている生徒がいる場合もあるでしょう。その場合にも、念のための確認という意味で、きちんと日本語の意味を答えさせるようにしてください。もちろん、意味が正確にイメージできていることはしっかりと褒めてあげてください。

 

 

この練習のもう一つのポイントは、Aはきちんと発音できなければ相手に理解されず、またBは相手の発音が聞き取れなければ日本語の意味に直すこともできないことです。

 

そういう意味では、互いの発音が相手に伝わるか、の確認もできるのです。

 

 

●イメージング読み

 

 

通訳読みによって意味の流れを理解させたら、今度は英文を、意味をイメージしながら読む練習をします。

 

リッスン&リピートとオーバーラッピングでは意味には全くこだわりませんでした。

 

ここでは、リッスン&リピートとオーバーラッピングで培った発音、リズム、スピード感と合わせて、通訳読みで確認したばかりの意味の流れも合わせて総合的に読むことを目的とします

 

当然、そのことを生徒にしっかりと伝えてください。

 

 

この活動は、やはりスクリプトを見ながら、各自で行わせます。

 

これまでに練習した発音やリズムやスピードを意識しながらも、自分が意味をしっかりと理解できるスピードで読むようにと指示を出してください。

 

素早く読むことはできても、英文の意味の理解が頭の中で追いつかなければ活動の意味がありません

 

いちいち頭の中で先の通訳読みのように日本語に置き換えていく必要はありません。
あくまで、こういうことを伝えようとしているという意味の理解が頭の中で追いつくスピードを大切にさせてください。

 

何度も繰り返し、遅くともノーマルスピードと同じくらいのペースで理解しながら読むことができるようになることを目指させてください

 

 

全員を起立させ、全体で同時にスタートし、読み終わった生徒から順次着席させるやり方を取り入れてもよいと思います。

 

この意図は、教師が「読みの遅い生徒を把握すること」です。

 

中には最後まで残ってしまうことを恐れて無理して速く読みたい気持ちになる生徒もいるかもしれませんから、必ず「最後の一人になっても構わないから自分のペースを大切に読んでください」と事前に伝えてください。

 

私の経験上、生徒たちが指導者のやり方を信頼していれば、自分の恥ずかしさや恐れよりもそちらを優先して、こちらの指示を守ってくれます。

 

たとえ最後の一人になり、教室に自分一人の声しか響かないような状態になってしまっても、懸命にやり遂げる生徒を心から賞賛し、褒め、クラスメイト達が尊敬すらできるように言葉を駆使して導いてください。

 

これもまた、信頼に足る指導者には必要なことですし、これが成功すれば、最後の一人になってしまった生徒を嫌な気持ちにさせてしまうことは決してありません。

 

それどころか、むしろクラスの一体感すら生まれます。英語指導の枠を超えて、「皆が一生懸命であることは素晴らしいこと」なのだと分からせることができるのです。

 

そうなれば他の生徒も最後の一人になることを恐れなくなりますし、自分なりに頑張ることが正しいことなのだと感じられるようにもなります。

 

教師は読みの遅い生徒を発見することで今後の指導の配慮に繋がりますし、このやり方には良いことが多いのです。

 

(なお、このやり方はスピード対決で取り入れることもできます。クラス全体で誰が一番速く読めるか、などと煽ってやると盛り上がります。この時も、遅い生徒への配慮は上記の通りです。)

 

 

話を戻します。ノーマルスピードでこれができるようになると、該当の英文に対するその生徒の感性はかなり磨かれたことになります。

 

発音ができ、意味も理解しながら読むことができるわけですから、その喜びも相当なものとなるはずです。

 

そして音読の効力も感じ始めるはずです。

 

英語が「できるようになる」「分かるようになる」というのはそういうことだと、褒めたり励ましたりしながら、さらに次の活動へと繋げてください

 

50分間まるごと音読メニューの一覧(PDF)ダウンロードはこちらをクリック!

関連ページ

なぜ英語学習において音読をするのか?
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語学習における音読の効果を得るために必要な3つのポイント
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語学習で何を音読するか?(中学・高校)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語学習で何を音読するか?~大学生・大学院生・社会人・英語教師
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
進度の速い英語授業vs.音読を取り入れた遅い授業
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
進度の速い英語授業vs.音読を取り入れた遅い授業
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語の音読訓練のための環境作り(前編)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語の音読訓練のための環境作り(後編)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語は日本語の都合など知ったことではない1(音読の約束事)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語は日本語の都合など知ったことではない2(易しい文の音読から感覚を磨く)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語は日本語の都合など知ったことではない3(語順の原理)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読指導の手順1
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読指導の手順2
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読指導の手順4
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読指導の手順5
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読の手順の補足とその他の方法論
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。