英語音読指導の手順2

英語音読指導の手順2

英語音読の手順②(リズムとスピードにとことんこだわる)

 

 

リッスン&リピートによって発音力を高めることができたら、今度は文としての自然なリズムとスピードで読むことができることを目指してください。

 

 

②-1オーバーラッピング
ここで登場するのがオーバーラッピングという音読方法です。

 

これもリッスン&リピートと同様に、生徒はスクリプトを見ながら行います

 

ただ、リッスン&リピートと違うのは、生徒は模範音声と同時に声を出す、ということです。

 

CD音声を流し、その音声と全く同時に読むように指示を出してください。シャドウイングのように音声の後からついていくのではありません。音声と同時に読ませるのです。

 

「英語のリズムとスピード感を身に付けることが目的」だと伝えることももちろん忘れないでください。

 

はじめは、ほとんどの生徒はうまくできません。

 

舌がまだ回らない、早すぎてついていけない、息継ぎのタイミングが分からない、強弱が音声通りにつけられないなど、模範となるCD音声と自分の発音との違いが露見します。

 

この違いにまずは気が付くことが大切なのです。

 

模範音声との違いが生じているということは、自然なリズムとスピードで読めていない証拠ですから、何度も何度も、可能な限り模範音声に近づけられるように繰り返し音読させてください。

 

CD音声があまりにも速すぎてどうにも無理があると判断せざるを得ない場合もあります。
そのときは、教師が模範音声となって少しスピードを落として練習させてください。
(そのためには、教師自身がCD音声に限りなく近い読み方ができるように事前に練習しておかなければなりません。)

 

生徒によっては、概ねCD通りに発音できるが、ところどころ舌が回らない箇所がある、というような場合も出てきます。
指導者としても「きっとこの箇所は生徒にとっては発音が難しいだろうな」と想定できることもありますから、そうした場合、「ここの箇所の発音は難しいですよね」などと言うと生徒たちは一様に頷いてくれますから、いったんオーバーラッピングを中断し、その箇所だけリッスン&リピートを行ったり、「30秒だけ時間を取るので自分にとって難しいと感じる箇所だけ重点的に各自練習してください」などと促したりて、適宜部分的に矯正しながら行うことも一つの手です。

 

 

オーバーラッピングはクラス全体で行うことができる音読法ですが、たとえばペアを作って片方の生徒が音読し、もう片方がそれを聞いてお互いに発音の弱点や良かったところ、気づいたことなどを指摘させ合うような活動を取り入れても良いと思います。

 

全体の活動では一人の教師が全員の音読を細かく聞いて逐一指導することも難しいですから、ペアを作ることで誰かに聞いてもらう状況を作り出すことは有意義なものです。

 

 

教師自身の音声によるスピードの調整も必要に応じて行い、生徒同士で活動させ合いつつ、最終的にはCD音声のノーマルスピードで正確にオーバーラッピングができるようになることを目指してください。

 

 

②-2スピードオーバーラッピング
オーバーラッピングに一通り慣れてきたら、今度はスピードアップしたオーバーラッピングを行わせます。

 

学校専売の教材CDには、最近は1.2倍~1.5倍速くらいの速いバージョンの音声が収録されているものも少なくありません。

 

これを活用して、ノーマルスピードよりも速いオーバーラッピングにチャレンジさせます。
CDに速いバージョンの音声が収録されていない場合は、プレーヤー自体に備わっている倍速機能を利用することができます。
プレーヤーにもその機能が無い場合は、教師が自分の声で行うしかありません。(しっかりと練習しておいてください。)

 

速度としては、1.3倍くらいが適当です。

 

このスピードオーバーラッピングには、口や舌の動きをさらに確実のものにし、速い速度でも適切なリズム感を保つことでスピードに左右されない英語感を身に付ける目的があります。

 

この目的もしっかりと生徒に伝えましょう。

 

さらに、スピードオーバーラッピングを行った後にノーマルスピードでオーバーラッピングをさせると良く分かるのですが、最初は速いと感じていたはずのノーマルスピードがとてつもなく遅いと感じるようになります。

 

英語の通常のスピード感を身に付けることと、速すぎて難しいと感じた当初の問題を克服することは十分に可能だということを身をもって教えることができます

 

 

スピード感とゲーム的要素で盛り上がる

 

ここまで淡々と述べてきましたが、実際のところ、クラス内で行うスピードオーバーラッピングはとても白熱します。
生徒を立たせてやってみると自然と声も大きくなり、より活発な雰囲気が出てきます。

 

「できた!」「やった!」「あと少し!」「あ~惜しかった!」「今度こそ!」・・・
こうした声が方々から聞こえてきます。

 

もはやCDや教師の声など生徒には聞こえないくらいの大合唱にさえなることもあります。

 

 

盛り上がったついでに、再びペアを組ませ、CD音声を使わずに今度はペアでスピード対決などさせてみるとさらに盛り上がります。

 

スクリプトの書かれたプリントやテキストを手に持った状態で立たせ、ペアの相手と向き合わせます。
スタートの掛け声と同時に読み始め、先に読み終わった方が相手の教材を奪い取り、その瞬間に勝利が確定する、などのルールを決めてゲーム的感覚でやらせてみてもおもしろいです。

 

ただ速く読むだけ、というシンプルな活動ではあるのですが、スピードを上げることのチャレンジ精神や、ゲーム的要素を取り入れることによる楽しみの感情が活動を盛り上げてくれるのです。

 

ただし、あまりにも盛り上がりすぎるばかりに「きちんとしたリズムとスピード感を意識すること」が忘れられてしまうことがあります。

 

十分に楽しみながらも、英語の練習をしている意識を忘れないように教師が十分に配慮し、その都度声掛けをしてください。

 

 

スピードオーバーラッピングを一通り終えたら、今度は再びノーマルスピードでオーバーラッピングをさせてみてください。

 

先にも述べましたが、当初は速いと感じていたものが、驚くほど遅く感じられ、CD音声よりも速いスピードで読むことすらできるようになる生徒も出てきます。

 

もちろん個人差はあります。中にはまだまだノーマルスピードでも追いつけない生徒もいるでしょう。それでも授業では次のステップに進まなければなりませんから、練習量が足りない生徒には各自家庭などで練習するようにと伝えてください。

 

 

オーバーラッピングの仕上げとして、いったん生徒を落ち着かせてから、音声無しで各自に音読させてみてください。

 

CD音声のリズムとスピード感を思い出しながら丁寧に発音するよう促してください。
これもまた、ペアで一人ずつ互いに聞かせ合う活動としても良いです。

 

50分間まるごと音読メニューの一覧(PDF)ダウンロードはこちらをクリック!

関連ページ

なぜ英語学習において音読をするのか?
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語学習における音読の効果を得るために必要な3つのポイント
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語学習で何を音読するか?(中学・高校)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語学習で何を音読するか?~大学生・大学院生・社会人・英語教師
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
進度の速い英語授業vs.音読を取り入れた遅い授業
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
進度の速い英語授業vs.音読を取り入れた遅い授業
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語の音読訓練のための環境作り(前編)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語の音読訓練のための環境作り(後編)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語は日本語の都合など知ったことではない1(音読の約束事)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語は日本語の都合など知ったことではない2(易しい文の音読から感覚を磨く)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語は日本語の都合など知ったことではない3(語順の原理)
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読指導の手順1
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読指導の手順3
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読指導の手順4
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読指導の手順5
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。
英語音読の手順の補足とその他の方法論
英語学習において音読は欠かせません。ここでは、なぜ大切なのか、指導上の注意点は何なのか、について説明します。