英語の音読訓練のための環境作り(後編)

英語の音読訓練のための環境作り(後編)

1、2時間の音読環境を作る

 

どのようにして毎日1、2時間の音読を可能にする環境を作ればよいのでしょうか?

 

一番簡単なのは、音読しようという気持ちを行動に移すことです。
教材を準備して、毎日決めた時間や隙間時間に欠かさず音読に臨む。これだけです。

 

しかし、これはかなり意志の強い人には可能かもしれませんが、多くの学習者の場合はなかなかそういうわけにはいきません。

 

仕事で疲れていたり、見たいテレビ番組があったり、その他のやるべきことがあったりで、義務的な性質や楽しいからやろうという衝動を伴い辛い音読は、普通は手間のかかることで、勉強などと同じように億劫な気持ちになりがちです。

 

たとえ音読素材が自分にとって必要な内容のもので、興味深くもあり実用的で有意義なものであったとしても、それが常にモチベーションを高く保つことのできる決定的な要因にはなりづらいものです。

 

教材をカバンから取り出したり、該当のページを開いたりすることすらもはや面倒くさく、音読活動から学習者を遠ざけてしまうのです。

 

 

そこで私が提案したいのは、

 

「わざわざ音読しようという意志を持って行動に移そうとしなくても、できるだけ勝手に音読せざるを得なくなる環境を作る」

 

ということです。

 

たとえモチベーションが上がらず、あまり気持ちが乗っていないときだとしても、自分を勝手に音読に導いてくれるような環境を目指すのです。

 

そんなことは不可能だと思われるかもしれませんが、ほんの少しの工夫で意外とそれは実現できるものです。

 

 

私たちの目は開いているし、耳も聞こえているという当たり前を利用する

 

たとえば車に乗る方であれば、はじめから車にCDをセットしておいて、エンジンをかけると同時に英語が流れてくるようにしておくことが一つの方法です。
さらにリピート設定をしておけば勝手に延々と流れ続けますから、車に乗る限りは英語音声と向き合わざるを得なくなります。運転しながら音読できるわけです。

 

電車に乗られる方の中には、普段からスマホや携帯プレーヤーを持ち歩いて音楽などを聞いておられる方も多いでしょうから、その習慣を利用して、イヤホンを耳に入れている限りは常に英語が聞こえてくるようにしておきます。
周りへの迷惑もあるため電車の中で音読することには抵抗があるかもしれませんが、無理に声を出さなくても、ささやくような感じで軽く口を動かす程度でも構いません。

 

スマホはまた別の使い方もできます。
素材となる英文を写真で取り、それをスマホのホーム画面や待機画面に設定しておきます。
スマホを起動するたび、勝手にその英文画像が目の前に現れるようにし、少しでも音読をしてからその時々の目的でスマホを利用するようにするわけです。

 

職場ではPCのデスクトップ画面に英文画像を設定しておくこともできますし、デスクの端の方に英文をコピーしたものをそっと置いておくとか、ポケットに入れておいてハンカチを取り出すたびについでに軽く音読するなどもできるかもしれません。

 

家庭では、トイレの壁(便座に座ったときの目の前の位置)に音読用の英文をコピーしたものを貼っておいて、便座に座るたびに目に英文が飛び込んでくるようにしておけば、用を足しながら音読することができます。

 

家のCDプレーヤーにも常に素材の音声CDをセットしておき、毎日決まった時間に自動的に電源が入って音声が流れてくるように設定することもできます。

 

 

要するに、人間は目が覚めてさえいれば常に視線はどこかに向きますし、音があれば耳は勝手にそれを拾い上げてくれるわけですから、これを利用して、音読をそもそも始める前にしなければならない億劫な準備動作(教材を取り出す、ページをめくる、CDをセットして電源ボタンを入れるなど)を可能な限り排除して、普段の生活の何気ない動作の中にさりげなく音読を取り入れてしまうように工夫すれば良いのです。

 

この下準備の作業さえやってしまえば、あとはほとんど自動的に無理なく音読習慣が身に付いていきます。

 

これによって、1時間~2時間程度であれば、無理せず音読時間を確保することは十分に可能です。

 

私自身も実際にやっていることですから、間違いなく可能です。

 

 

たとえモチベーションが下がっても、やらざるを得ない状況を作り出すことで音読を継続することができるのです。

 

加えて、モチベーションが低い状態でも、ひとたび英文を口ずさみ始めれば徐々に気持ちは乗ってくるものです。

 

 

音読の覚悟と決意を

 

ある言語を母語として身に付ける際、音読を無意識のうちに繰り返し行ってきたことが大きな役割を果たしている、ということを別項(「なぜ英語学習において音読をするのか?」)で述べました。

 

母語でさえ繰り返しの練習を要求しているのですから、英語という外国語を後天的に身に付けようというのであれば半端な回数ではいけません。

 

よく分かる文章を何十回、何百回と繰り返してようやくそのリズムや感性が身に付いていきます。

 

その意味で英語習得のためには時間と労力をかけなければならないという覚悟と決意が必要です。

 

そのことを無視して「さあ今日も楽しく英会話レッスン!」程度の気持ちでいては恐らく永遠に英語など身に付かないでしょう。
事実、英会話学校に通ったことで英語が話せるようになった人の話は驚くほど聞こえてきません。

 

外国語の習得は決して簡単ではないことを心して、覚悟を決めて、しかしなるべく楽できるように上記のような工夫をして、途方もないように思える大量の音読をまずは実現してください。

 

 

 

最後に、重要なことですが、上記のような工夫は単語学習にも生かすことができます

 

記憶の定着のためには単語も繰り返し見て発音することが重要ですから、目につくところに単語リストを張り付けておいたり、付箋に覚えたい単語を書いてドアやPCの端などに張り付けておいたりすると良いです。

 

私も一時期、家の中が単語を書いた付箋だらけになったことがありました。
電気のスイッチやテレビのリモコンのボタンにまで付箋を貼っていました。

 

あまりにも異常な光景だと思ったのでちょっと自分でも気持ち悪くなりましたが(笑)、抜群の効果が得られます。

 

1対1の訳語で単語を覚えることは良くないとよく言われますが、私は必ずしもそのようには思いません。

 

ここではテーマが違うので深くは述べませんが、適切な発音とともに覚えた単語であれば、たとえそれ単体の意味しか覚えていなくても、後々の学習には大きな意味を持ちます。

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