英語の音読訓練のための環境作り(前編)

英語の音読訓練のための環境作り(前編)

音読訓練のための環境作り(前編)

 

音読が重要であることの理由はこれまでにも述べてきた通りです。

 

しかし、いくら重要であることが分かっても、学習者にとって音読はかなりの時間と労力を要求される大変な活動です。

 

何か月も、場合によっては何年も続けなければならない音読へのモチベーションを維持することは大きな課題であり、これがうまくいかないために中途半端で投げ出してしまう方は少なくありません。

 

そして「次こそは」とまた別の教材や方法論を求めて、再び挫折して、延々と同じことを繰り返してしまうのです。

 

では、そうならないためにはどうすればよいのでしょうか?

 

 

高いモチベーションを保ちながら音読を続けるためには、大きく3つのポイントがあると考えています。

 

①音読の価値を理解すること
音読は必ず英語力を高めてくれることを知ることで、「価値があるから手を出す」という気持ちを保つことです。(これについてはすでに別記事「なぜ音読をするのか?」で述べています。)

 

②目標を持つこと
音読の先に「英語を自分の目的通りに使いこなしている自分」をイメージし、ここに到達することを目標とすることです。月並みなことですが、非常に大切です。
(大切なことだと証明されているからこそ誰もが「目標を持つことが大切」と言い、月並み化するのです。)

 

③継続して音読をすることのできる物理的環境を作ること

 

ここでは特に③について述べていきます。

 

 

実際の発話時間をまず知っておく

 

音読の物理環境を作るためのヒントとして、まず日常的な発話の時間について見ておきましょう。

 

個人差はありますが、一般的に人が一日のうちに言葉を発する時間の総計は、少ない人で30分程度から、多い人でも2時間程度と言われています。

 

私たち講師などのように人前で多く話す時間を与えられた仕事をする人は別として、平均的には1時間程度といったところでしょうか。

 

これは誰かと会話をしている時間ではありません。自分が実際に口から言葉を発している時間です。
(会話の場合は相手の発話を聞いている時間が含まれますから、それは除外するということです。)

 

意外と少ないと感じられないでしょうか。

 

 

ここで、たとえば英語力アップを目指してアメリカに行くことになった場合を想像してみてください。

 

いざ英会話の練習だと勇んで行ってみたはいいものの、まだまだ英会話力の乏しい自分の発話時間はいったいどれほどになるでしょうか。

 

日本語ですら普段から1、2時間程度しか喋っていないのに、それが英語であれば、下手をすると数分くらいのものにしかならないかもしれません。

 

英語を身に付けるために「海外に行くなどして英語漬けの環境を作ること」が重要だと考える人は多く、私自身これを否定はしません。

 

しかし、上記のような視点で実際の発話時間を考えるとき、果たして海外に赴くことが本当に効率的な訓練にふさわしい環境づくりと言えるのでしょうか。

 

実のところ私もアメリカに暮らし始めた当初は、ほとんど喋った記憶がありません。

 

1年、いやひょっとしたら2年以上の時間をかけて少しずつ表現を身に付け、徐々に口が動くようになったと思います。
(その意味では現地でもっと積極的に個人訓練を積んでおけばよかったなという後悔の気持ちすらあります。)

 

発話の時間が多ければ多いほど、つまり口から言葉を出す経験を積めば積むほど、(もちろん、文法・語彙使用と発音の正確さを伴うに越したことはないですが)言語が身につくスピードも上がります。

 

となれば、一日数分から頑張っても数十分程度の発話、しかも何を喋ればいいのかも分からないような不確かな発話のためにわざわざ現地に行くよりも、日本にいながらにして教材を用いて正確な英文音読の時間をしっかりと確保することを心がけた方が、はるかに効率が良いと言えるのではないでしょうか。

 

これはリスニングについても同じです。相手がいったい何を喋ってくるのか分からない場当たり的な会話に現地で臨むよりも、市販のCD付教材を使ったり、繰り返し映画やドラマを観てリスニング材料にしたりする方が、特にはじめのうちは理にかなったやり方と言えるのではないでしょうか。

 

 

つまり、1時間や2時間程度であれば日本での生活の中で海外にいる場合と同じだけの発話時間を物理的に確保することは可能であり、そうするべきだということです。

 

発話時間を考えるとき、海外に行くことができないからと言って諦めてしまう必要など全くないということが分かるのです。

 

 

英語の環境作りは工夫次第

 

上記のような視点を持たず、「海外こそが英語漬けの環境」などと思い込んでいるから、「日本にいるから英語ができるようにならない」という誤った認識が生まれ、またこの認識によって「今後も日本にいる限り英語はできるようにならない」と捉えてしまい、モチベーションが下がり、未来の自分への可能性すら閉じてしまう悪循環に陥ってしまうのです。

 

日本の英語教育界に漂う「日本人は英語ができない」雰囲気は、こうした誤った認識も無関係ではないでしょう。

 

そうではありません。

 

大切なのは、日本国内にいながら、どのようにすれば海外に赴いた場合と同じ程度、あるいはそれ以上の英語発話の環境を作ることができるか、という視点に立って工夫することなのです。

 

 

日本にいながらにして高度な英語力を身につけた人たちが確かに存在します。
そして彼らは、上記のようなことをしっかりと心得て、英語の環境作りを工夫した人たちでもあるのです。

 

 

次項(こちらをクリック)では、日本で日常生活を送りながら英語を取り入れる工夫について述べていきます。

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