英語音読の手順の補足とその他の方法論

英語音読の手順の補足とその他の方法論

英語音読の手順の補足とその他の方法論

 

音読の手順①~⑤までで基本的な音読の方法論について述べてきました。

 

これらについての補足と、また別の音読方法についていくつか述べておきます。

 

 

音読方法は学習者のレベルに応じて変えてもいい

 

たとえばシャドウイングやディクテーションは、それ以前の音読によって得られた力を試すために行う活動であり、いきなり取り組むには難易度が高すぎるため避けるべきであると述べました。

 

しかし中級レベル以上の、ある程度の力を持った方々にとっては、力試し的にいきなりシャドウイングやディクテーションを行っても十分に意味があります。

 

そうした方々にとっては、基本的なことからゆっくりと取り組むよりも、より効率的に自分の弱いところや理解の不十分なところなどを炙り出すことができ、即座にハイレベルな練習に取り組むことができるからです。

 

 

中学や高校の授業でも、事前指導の段階で生徒たちが十分に意味も理解していて内容に戸惑うこともないようであれば、たとえば通訳読みを飛ばすことも可能です。

 

その時々の様子や状況に応じて、柔軟に音読をアレンジしていただけると良いと思います。

 

 

音読は教師のためにもなる

 

オールイングリッシュによる英語授業の理念の前に、ご自身の英語力に不安をお持ちの方も多いと思います。

 

手順①~⑤の音読方法は、あらゆる英語学習者の技能向上に役立つと考えています。

 

クラスルームイングリッシュや内容説明などのための英語力に不安をお持ちの方は、生徒にやらせる前にご自身で音読を行い、自己研鑽の材料としてください。

 

 

その他の音読方法(プリントの工夫)

 

通訳読みのところでプリントを用いた音読をご紹介しましたが、プリントにはいろいろな工夫を施すことができます。

 

たとえば「穴埋め音読」という工夫です。

 

Mr. Jones is a (t ) who (教える) English at ABC high school.

 

このようにスクリプトに空欄を作ったり、入れるべき単語の意味だけ日本語で入れておく箇所を作ったりして、その場で発話すべき語を考えさせながら読ませる、という方法です。

 

言いたいことを伝えるために必要な単語や表現を瞬時に思いつく力や、細かいことで言えば三単現のsを正確に付ける力を身に付けさせるために、このようなやり方は有効です。

 

 

いつも同じやり方で飽きてしまう生徒もいるでしょうから、ときどきこのようにアレンジを加えながらやってあげると良いのではないでしょうか。

 

 

その他の音読方法(ディクトグロス

 

これは音読というよりも、その前段階の力試し的な要素が強い、少し難易度の高い方法なのですが、ディクトグロスというやり方があります。

 

比較的学力の高いクラスで実践してみるととても面白いです。

 

使用するのはCD音声と白紙の紙とペンです。

 

このCD音声については、生徒にとっては初めて耳にすることになる、いわば初対面の英語で、なおかつ少し難しめの英文が収録されたものを用意してください。

 

 

次にやり方ですが、生徒をまず3人程度のグループに分けます。

 

白紙の紙とペンを手元に用意させ、一度だけCDを流します。

 

少し長めで難しめの文章が理想的です。

 

生徒には、それを聞き取って紙に書きつけるようにと指示を出してください。
つまりディクテーションです。

 

このとき、空白ができて中途半端になってもいいから聞き取ることのできた単語や表現はとにかく可能な限り全て書き取るようにと伝えてください。

 

音声を一度聞いただけで全てを書き取ることができる生徒はほとんどいません。(いないはず、くらいの難易度のものを用意してください)

 

次に、3人のグループのメンバー同士で互いに紙を見せ合ってもらいます。

 

そしてこの3人で相談する時間を与えてください。

 

何を相談するかというと、聞いた文章がどのようなものだったか、ということです。

 

つまり、3人で力を合わせて音声を復元させるのです。

 

聞き取ることのできた単語や表現は、生徒によってバラバラ(のはず)です。

 

断片的に切り取られた単語などをかき集めて、生徒たちは3人で一つの文章を完成させようと必死になります。

 

この活動の面白いところは、最初はリスニング力としてとりあえず聞こえるものを聞き取るための技能面に集中させ、次の相談の段階では、互いの情報をかき集めて使われている文法や文全体の意味を推測させる、つまり知識面への集中に切り替えさせることです

 

これには高度な知識力が求められますから、だからこそ学力の高いクラスで行うには適しているのです。

 

 

恐らくたった1度のリスニングだけでは、3人の情報を集めても文章は完成しません。

 

そのことを確認してから、再び同じ文章を流し、先ほどと同様に聞き取り、書き取り、相談を行わせます。

 

次第に情報量が増え、だんだんと文章が出来上がっていきます。

 

生徒たちは、文法や単語の推測により知識面への集中力を高めていますから、2度目に聞くときなどはその知識面が正しいかどうかの確認も含めて音声に耳を傾けます。

 

技能と知識の両方を駆使し、技能と知識の融合を図ることが、このディクトグロスという活動に期待されるところです

 

3度目、4度目と続けると、いよいよ文章が完成していきます。

 

生徒たちは教師によって指導されるのではなく、自分たちで理屈を考えて一つの英文を推測し、答えを導き出し、理解し、「なるほど自分たちの考えた通りの英文だった」と確認できることで、かなりの達成感が得られます。

 

パズル的な要素もあり、とても知的好奇心が沸く活動でもあります。

 

この過程を経て、音読手順①からの音読につなげてみてください。

 

自分たちが必死に謎を解き明かそうと取り組んだものですから、集中しないわけがありませんし、定着スピードのアップも期待できます。

 

 

このディクトグロスもまた、時々投げ入れる工夫として取り入れられても良いのではないでしょうか。

 

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