英語は日本語の都合など知ったことではない2(易しい文の音読から感覚を磨く)

英語は日本語の都合など知ったことではない②(易しい文の音読から感覚を磨く)

英語は日本語の都合など知ったことではない②(易しい文の音読から感覚を磨く)

 

英語は言語である以上、本来の姿は音声です。

 

前項(こちらをクリック)の復習になりますが、単語は耳に入ってくる順番でしか耳には入ってきません。逆再生もされません。

 

そして一度でも発話された単語はたとえ接続詞でも関係詞でも意味を持ちます。

 

冠詞のaやtheも訳されないことが多いですが、これらも、或いは他のどんな単語も、文字や音声として現れてくる以上は意味がありますから、十分意識することを日ごろから心がけてください。
(冠詞の意味まで正確に拾い上げることのヒントとして別項「This is a pen.をバカにしない」をご覧ください。)

 

 

くどいようですが、語順に従い、意味を前から正確に拾い上げながら英文と向き合い、音読することの大切さを繰り返し述べておきます。

 

 

語順を当たり前に守るという考え方から指導法も考え直す

 

「こういう場合は後ろから訳す」、「後ろの語(句)を見て直前の動詞の用法や意味を判断する」などと読解のテクニックらしきものを教える指導者は少なくありません。

 

しかし、言語が音声であるという前提の下ではそのようなものは何の役にも立ちませんし、私に言わせればそれは英文を汚してしまっているようなものです。

 

(ただし、それらが大学入試問題などで大きな意味を持つことは否定しません。文法の空所補充問題などは、空所の前や後を見なければそもそも解けないようになっている場合が多く、だから「後ろから」という考え方が指導現場に持ち込まれるのは残念ながら仕方のないことなのかもしれません。)

 

 

語順に従うというのはどの言語でも当たり前のことなのですが、その当たり前を無視しておかしな方向から英語を捉えよう、日本語として自然な解釈ができるような読解力を身につけようという指導スタイルは昔も今も相変わらずあります。

 

後ろから訳そうとしてみたり動詞を逆から判断しようとしてみたり、ひどい場合にはあちこち飛び回って遠回りしてやっとポイントに辿り着く、ということもあります。

 

「自然な日本語訳をすること」を明らかな目的として教えられる名詞構文や無生物主語構文などはその最たるものと言えるかもしれません。

 

それらは日本語を扱う我々日本人が、うまく日本語訳をしたり、入試問題で高得点を目指したりするための勝手な都合によるものにすぎません。

 

一見理解しやすそうに思えても、実は英語の感性を正しくとらえているわけではないのです。

 

入試問題では点数は取れるけれど、実践力としての英語力が身に付いていない人が多い原因の一端はここにあると言えるでしょう。

 

英語は日本語の都合など知ったことではありませんから、それなら流れる語順の通りに英語を受け入れる、前から順に意味を拾い上げていく、つまりネイティブと同じ感覚で聞いたり読んだりするという姿勢で英語と向き合う練習をするのは当然のことです。

 

もちろん、後天的に英語を身に付けようとする人間が、幼児期から自然に言語力を身に付けてきたネイティブスピーカーと同じ状況で同じことをすれば良いなどという乱暴なことは言いません。

 

両者の言語習得プロセスに違いがあることは明らかであり、方法論が異なることも心得ています。

 

ですから、事前準備として日本語を介した指導による理解をまず目指すという姿勢や方法論はあっても構わないと思いますし、むしろ必要なことだと思います。

 

 

ただし、目指すべきところはその先にある「日本語を介さない英語運用力」であることを学習者も指導者も決して忘れてはいけません。

 

もしもあなたが指導者として、「語順を崩した指導」に心当たりがあり、かつ生徒の将来の英語運用能力の向上に貢献したいと望まれるのであれば、これからは「語順に従った音読の指導」を取り入れなければならないことを心得てください

 

 

簡単な文から練習してみる

 

ではどのように語順に従った音読を取り入れていけばよいのでしょうか?

 

まずは中学1年生レベルを想定して、簡単な文を用いて練習する(させる)ところから始めましょう。

 

Tom knows you.これを頭から理解していきます。「トムは」「知っている」「君を」ですね。
これを頭の中で「トムは君を知っている」というように日本語訳せずに、「トムは知ってるんだよ君のことをね」という英語の語順の感性を感じ取ることができるようになるまで続け(させ)てください。

 

Tom knows your name.さて今度は語数を増やし、「トムは」「知っている」の後、yourとnameを置いてみました。これらについて、「君の」「名前」と別々に考えるのではなく、your nameで「君の名前を」という一かたまり(句)として読む意識が持てるでしょうか。

 

前から意味を拾い上げていく上で、単語一つ一つにとらわれすぎても良くありません。語の意味を把握しつつも、意味のまとまりとして複数語を一括りにとらえることが大切です。

 

どこからどこまでが一括りとなるか、という問題は、事前の理解の過程で日本語による解説を介してでもしっかりと解消しておいてください。

 

 

この文も十分に身に付いたら今度はTom knows that you are a doctor.のように複数の節を伴う長めの文にレベルアップします。

 

「トムは知っている」「それって君が医者だってこと」という具合に拾い上げるかたまりを大きくしながら読めるように努めてみましょう。

 

あくまで接続詞のthatの意味も拾い上げることがポイントでしたね。(該当記事はこちらをクリック)
thatの意味も意識し、しかもthat以下が大きな意味のまとまりを形成することを感覚として掴むことが大切です。

 

 

余談ですが、よく授業でスラッシュリーディングという方法が取り入られます。長い英文でも、意味のまとまりごとにスラッシュ(斜線)を引き、そのまとまりを一つのかたまりとして読むトレーニングです。

 

自分でスラッシュを引けることが理想的ですが、特に最初のうちは「スラッシュってどこで引いたらいいの?」と疑問に思われこともあるかもしれません。

 

極端なことを言えば、スラッシュを引くポイントは、自分で意味が分かるかたまりごとでいいのです。
(もちろん、たとえばto schoolでひとまとまりとするところをtoとschoolの間にスラッシュを入れてしまうと意味のまとまりを壊してしまうことになるので、そういう部分の配慮は必要です。)

 

 

では最後に接続詞と関係詞を使った文でも練習してみましょう。これは一般的には中学3年生レベルですので、1年生には向きません。
Tom knows that Mr. Jones is a teacher who teaches English at ABC high school.

 

いかがでしょう?「トムは知っている」「それってジョーンズ氏が先生だってこと」「誰かと言うと教える人」「英語をABC高校でね」という具合に意味を前から拾い上げることができたでしょうか。

 

繰り返しますが、ポイントは「接続詞も関係詞もしっかり意識すること」と「逆戻りしないこと」です。

 

このやり方で読めるようになってはじめて、「トムはジョーンズ氏がABC高校で英語を教える教師だということを知っている」という自然な日本語訳に辿り着きます。

 

最初から英語とまったく語順の違う日本語に置き換えようとすることはものすごく無理があることがよく分かりますね。

 

 

これらのことを大切に、授業にもご自身の練習にも音読を取り入れてください。

 

 

次項では、英語の語順構造に関する重要な仕組みについて述べます

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