動く自分を見たことがあるか(御井浦 のえ著)
動く自分を見たことがあるか
旅先で幼い自分がはしゃぐ姿。両親が撮りためてくれていた家族の映像を誰しも一度くらいは見たことがあるでしょう。また、スマートフォンが普及した現在では、友人と楽しげに笑う自分の動画を見ることも多々あるでしょう。
しかし、「採用試験」の自分の姿を見たことがある人はほとんどいないと思います。
あなたは自分が採用試験の面接で、どのような立ち居振る舞いをしているか意識しているでしょうか。
どのような話し方をしているか、表情はどうか、目線はどうか、癖はあるか・・・
さらにはそれが、面接官からどのように見えているか考えていますか。
思っている以上に特徴的な自分
私自身が初めて採用試験に近い状態の自分の姿を見たのは大学生の時でした。教科教育法の授業で模擬授業の担当に選ばれてしまい、その姿を教授が撮影してくださったのです。
録音された自分の声が変に聞こえるというのは「あるある」かもしれませんが、それ以外にも「変だ」と感じる点はたくさんありました。
例えば・・・
・目線が下がりがちだったり、泳いでいたりする
・話し始めに「えー」「あのー」などという言葉が入る
・手をぶらぶらさせてしまう
などがありました。
「授業が下手」という以上に、「なんだこれは」という衝撃が大きかったことを覚えています。
さらに、教育実習の際にも実習仲間に動画を撮ってもらいました。
そのとき、撮影していた実習仲間から
「困るとスカートの端を掴む癖があるね」
と笑われました。
全く無自覚で、冗談かと思いましたが、動画を見直すと確かにそんな癖がありました。
さらに、以前、面接官をした採用試験で、教員経験者の方が黒板に書いた内容に対して「こいつ」という言葉を使いました。
(「こいつ(この式)を代入する」というような使い方でした)
私は特に気にもならず、聞き流してしまいましたが、他の面接官が
「採用試験であのような言葉遣いはいかがなものか」
と指摘。
結局その方は採用に至りませんでした。
不採用の理由は伝えませんので、その方は未だに自分の普段の言葉遣いが出てしまったことが原因とご存じないでしょう。
まずは自分を知る
上記のように我々の言動には自分でも気づかないいろいろな特徴があるのです。
人柄を表す好意的なものもあれば、是非今すぐやめるべきもの(私のスカートの端を掴む癖もその一つです)もあります。
それを知ることが採用試験合格の必須事項です。
家族や友人であなたの面接練習を手伝ってくれる人がいれば、まずあなたの面接での様子を見てもらいましょう。
そして様子をスマートフォンなどで撮影してみましょう。
通し稽古
撮影する内容は「すべて」です。「すべて」と言われても何かわからないと言う方もいるでしょう。
「すべて」とは以下の通りです。
・入室の仕方
・入室後の挨拶
・着席
・着席中の様子
・質問に答える様子(家族や友人には面接官になってもらいます)
・模擬授業の様子
・退出の前の挨拶
・退出の仕方
とにかく初めから終わりまで「すべて」通して練習し、撮影してください。
複数チェック
撮影できたら、見てみましょう。
恥ずかしく感じる人もいるかもしれませんが、見ないことには始まりません。
チェックする部分は複数あります。
・目線
・表情
・話し方
・動き
などです。特にそれぞれ癖がないかなどはよく見ておきましょう。
見ていく際に用意するものがあります。
ペンとメモです。
できれば「面接用ノート」などを一冊用意しましょう。
気になることがあれば、そこにどんどん書き込んでいきます。
自分のことを客観的に確認すると「おかしい」と感じる点が複数あります。その複数のおかしな点をチェックしましょう。
さらに、必ず自分以外の人間、複数人にチェックしてもらいます。
自分では気づかなかった思わぬポイントを指摘してもらえるかもしれません。もし可能であれば、大学の教授や中学高校時代の恩師などにも見てもらいましょう。特に中学高校時代の恩師は採用試験の面接官の経験があるかもしれません。
参考になる指摘をもらえる可能性が高いでしょう。
そして、複数人でのチェックが済み、いろいろな改善箇所が見つかったら、さらにすることがあります。
撮影のし直しです。
面接をまた通しで撮影し直します。
複数箇所に気を配り、複数人で確認し、複数回撮影し直し、繰り返し自分の面接の様子を見、改善していきましょう。
他の受験者と差をつける
ここまで準備をしている受験者がどれくらいいるでしょうか。経験上、ぶっつけ本番で採用試験の面接に臨んでいる受験生も一定数いると感じています。
そのような人は基本的な質問や面接の基本事項も守れていません。
そして、教育大学や教育学部以外の大学・学部出身で採用試験を受ける仲間がおらず、練習が不十分な受験生もいます。
教育関係の大学生は採用試験の受験者も多く、皆で協力し、助け合うことができます。また大学や学部、先輩からの情報も入手しやすく、有利な点も多いでしょう。
それに対して、それ以外の関係の大学生は場合によってはひとりぼっちで採用試験に臨むことになります。
また、採用試験の教科・一般教養・教職教養・小論文の勉強が忙しくて面接にばかり時間が割けないのも事実でしょう。
その中でも面接練習にしっかり時間を割きましょう。
面接練習の際に培った立ち居振る舞いは、将来、教壇に立ったときも必ず役に立ちます。
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