人は見た目が...(御井浦 のえ著)
人は見た目が・・・
どこかで聞いたようなタイトルですが、面接において忘れられがちな「見た目」のお話です。
長年面接官をしていて、最後に候補者が絞りきれないことも多々あります。
年配の面接官と若手の面接官で意見が割れる・・・
男性面接官と女性面接官で意見が割れる・・・
私としては「この人しかいないのでは?」と思うような場合も、意見交換の場面になると別の候補を挙げられることもあるのです。
「どのような教員を求めて試験をしているか」という像が明確になっていても、それぞれの「感覚」があるので、意見が分かれてしまうこともあります。
意外と見ている「見た目」
多くの採用試験の結果は模擬授業の内容、面接の内容で差が出るのですが、実は審査基準として「見た目」を指摘することも意外と多くあります。
「さっきの人はなぜジャケットを着ていなかったのか」
「茶髪はまだしも、男性の長髪はちょっと・・・」
「流行りのことはわからないのだけど、あのレギンス?って、面接で着てくるのはありなの?」
「お化粧・・・濃かったですね・・・」
「ずっと髪の毛触ってなかった?」
など、退出直後にコソコソと「見た目」に関する話で物議を醸すことも実際あります。
「今日が勝負」なのではないのか?
特に「専任教員」採用試験の際は、今後一生働いてもらう可能性も高いですので、面接内容とともに「見た目」にも目を光らせます。
試験をするこちら側から言えば
「自分の一生の職場になる(かもしれない)場所での採用試験にいい加減な格好で臨む人間は信用できない」
ということです。
特に、勤務時にスーツ着用を要求される私立学校では、いい加減な格好で面接に来る人間はその時点でアウトになる可能性も高いでしょう。
もちろん我々試験官は模擬授業や面接の「内容」を最も重視しています。
しかしながら、その「内容」も「見た目」で印象が下がったり、そもそも見る気を失ったりすることもあるのです。
面接官になって気づいたこと
振り返ってみれば私自身が「受ける側」だったときは大学生でした。
服装はリクルートスーツ。
髪は黒。
長い髪型だったので後ろで一つに束ねました。
お化粧は薄め。
いわゆる「就活スタイル」でした。それに対して何の疑問もなく、「当たり前のこと」としてそのスタイルで採用試験に臨みました。
しかし、面接官の立場になるとこの「当たり前」が守れていない受験者が多いことに気づきました。
採用試験に特別な見た目は必要ありません。そう、「特別な見た目」は必要ないのです。
当然のことながら学校の採用試験において、「見た目」で「個性」を認め、採用することはありません。
そこで「個性」を主張する必要は全く不必要です。
重要なのは「普通」に「無難」な見た目で来ること。
「見た目」が面接の「内容」を邪魔しないようにしてほしいのです。
「普通」・・・?
では、その「普通」とは何か。
「普通」はそれぞれの人間によって変わってきますが、あえて書くのであれば・・・
①服装
大学生や大学院生はリクルートスーツが一般的です。
フレッシュさも演出できます。
中は白のシャツ。
男性の場合は無難な無地やあまり派手ではない、目立たないネクタイを締めましょう。
ネクタイピンもシンプルなものを。
社会人は黒のスーツでいいでしょう。
少しストライプが入っているなどは構いませんが、丈が短いなどのおしゃれさは特にいりません。
インナーは白シャツ、もしくは女性の場合は無地のカットソーなどが好ましいと思います。
女性でスカートのスーツを着用する人は膝丈になっていますか。
当日着用する前に鏡の前で確認を。
女性で黒のストッキングやタイツを着用してくる方が居ますが、上にも書いた通り、
「一世一代の場面でなぜそれを履いてくるのか・・・」
と驚きます。
足を出すのに抵抗があるのであればパンツスーツをご着用ください。
また、男性でスポーツ用の靴下やカラフルな色使いの靴下が上履きやスリッパから見えてしまう方もいらっしゃいます。
黒、紺、グレーなどにしましょう。
「なぜ今日に限ってそんな目をひく靴下を・・・」
と、これも女性の黒いストッキング同様、面接官を驚かせます。
また、アクセサリー類にも気を付けましょう。
男性は時計以外つけないでください。
女性も時計以外は不要と思ってもらってもいいくらいです。
どうしてもつけたい場合は「自己主張しないもの」を心がけましょう。
・ネックレスなら小粒の石、華奢なチェーンのもの
・イヤリングやピアスもネックレス同様、小さなダイヤやパール
・リングは結婚指輪のみ
じゃらじゃらしたネックレスやゆらゆらゆれるピアス、おおぶりなイヤリング、ファッションリングは受かりたいのであれば外してください。
「恋人とペア」、「お守り」というものも、面接官には関係ありません。
「ファッション」と判断されてしまう可能性が高いです。
身につけていないと落ち着かないのであれば、試験直前にポケットへ。
②髪型
染髪が許されるかどうかは私立などでは学校によります。
「面接官に茶髪の人が居たから大丈夫」
なんて言うこともありません。
面接の要項に「染髪可」とでも書いてあるのなら別ですが、黒か濃い茶色が望ましいでしょう。
男性は短い髪型にしてください。
往年のテレビドラマの熱血教師のような長髪は面接の時は控えましょう。
女性はショートカットであればそのまま、長い髪は纏めるのが望ましいと思います。
髪が長いと模擬授業や面接の際、困ったときなどに癖で髪を触ってしまいがちです。これはよい印象を与えません。
③メイクなど
男性はひげを必ず剃ってください。
流行りの顎のみのひげや無精ひげも悪印象です。
年配の方でひげを伸ばしている方は自己判断で。
女性のメイクは薄めが好ましいでしょう。
「薄め」の基準も難しい方のためにさらに詳しく書くとすれば・・
・肌の色に近いファンデーションをさっと
・アイメイクは二色程度まで
・アイラインは目の幅程度で、目の上のみ
・マスカラは一塗り
・つけまつげやまつげエクステは控える
・チークはなしかさっと一塗り程度
・口紅は自然なピンク色を一塗り程度し、ティッシュでオフ
盲点の「写真」
採用試験の際に必ず我々面接官が見るものは目の前に居る受験者だけではありません。
それは何か。
履歴書です。
盲点になりがちですが、履歴書の写真も上記のような見た目を守ってください。
また、履歴書に「○ヶ月以内に撮影したもの」と書いてありますが、できれば直近のものを
見た目が変わりすぎている方も居ます・・・
「仕事」の「面接」
遊びに行くのではなく、あくまで「教員」になるための「採用試験」の「面接」です。
「仕事」を心がけてください。
自分を守る
「まるで中学や高校の時の校則のようだ!」
と思っている方。
その通りです。
教員になると言うことは「生徒のお手本になること」です。
私自身としては「教師と生徒は別」とは考えていますし、生徒指導の際もそのような態度で接します。
しかし、これは私の年齢が進んだからです。
実体験を元に言えば、新人の時は特に「お手本になること」を心がけておくのが自分のためにもなるのです。
なぜか。
それは若いが故に、生徒の指摘の的となるからです。
生徒と年齢が近い頃は
「先生だって化粧している」
「先生のスカートも短いときがある」
など、「先生だって○○」と校則に則ってこちらに指摘をしてくる生徒が多々居ました。
「生徒と教師は違う」「それは屁理屈だ」と一言で片付く話かもしれませんが、それでは生徒との距離が離れてしまいます。
大卒一年目も、社会人経験者で教師になる人も、他校での経験者も、学校から見れば「新人」です。
面接の際も「自分は新たにこの学校の一員になりたい」という気持ちを持ち、面接の印象をさらに高められるような「見た目」を心がけて面接に臨んでください。
健闘を祈ります。
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