海外インター校の実例から~言語能力を決める要素とは1

海外インター校の実例から~言語能力を決める要素とは1

海外駐在員のお子さんが、現地のインターナショナルスクール(以下インター校と表記)に通うことは、以前から珍しくありません。近くに日本人学校があれば選択肢が増えるのですが、そうでない場合はやむを得ず、といったところでしょう。

 

また、最近では母子留学のようにわざわざ海外に移住して、お子さんを現地のインター校に通わせるケースも増えてきたようですし、それをサポートする会社やサービスも少しずつ増えているようです。

 

このように日本人夫婦の子どもが、海外のインター校に通うケースが徐々に増えているのですが、その後、子ども達がどのように英語を身に着けていったのか、という情報がほとんど出てきません。

 

また、将来日本に戻る場合日本語能力を年齢相応に高めていくことも大切ですが、幼少期の留学が母国語である日本語にどのように影響を与えるのか、という情報も不足しています。

 

あったとしても、ブログなどで語られる個人レベルでの断片的な情報にとどまっていて、なかなか実情を知ることが難しい状況です。

 

ある時、実際に移住した先で息子さんを現地のインター校に通わせたことのある知人から、詳しい状況を聞く機会がありました。

 

彼は日本で英語教諭の経験があります。また現地で日本語補習校のボランティアもしていて、よその家庭のお子さんとも触れる機会が多くありました。一個人の体験談だけでなく、元英語教諭の視点から状況を詳しく教えてくれましたので、ここで皆さんと共有したいと思います。

 

 

言語能力を決定する3つの主な要素とは

 

「小さいときに、英語と日本語を混ぜちゃったから、ウチの子は日本語が伸びないのかな?」
「9歳からインター校に通っているが、1年たってもまだあまり英語が上達しない。」

 

など、海外インター校にお子さんを通わせている保護者の悩みは、尽きることがありません。親同士でいろいろと悩みを打ち明けて、なんとか対策をしようとしても、なかなか有効な解決法が出てきません。そもそも言語習得を妨げる本当の理由が分からないままのケースが多いです。

 

こうした難しさの背景には、言語能力を決定する複数の要素をごちゃ混ぜにして考えている、ということがあるように感じます。それらを整理した上で議論しないと、問題の原因は究明できないのでは、と考えます。

 

私は研究者ではないので正確なデータを取ったわけではありませんが、ほぼすべてのケースを説明できる観点を3つに絞ることができましたので、ここで紹介します。

 

第一の要素「成長段階(年齢)による言語干渉」

 

おおまかな年齢が大事なのですが、4歳くらいまでに英語漬けの環境に入ると、家庭では日本語が話されていたとしても、英語がメインの言語(母語)となる場合が多いです。子どもの本能が周辺の環境を察知して、その時、最も必要とされる言葉を優先させようと働く結果でしょう。

 

その結果、優先順位が低いと本能によって判断された言語=日本語は成長が止まるか、もしくは徐々に忘れていくことになります。将来、日本に帰る予定の家庭であれば、相当なフォローがないと後悔することになります。

 

5歳~6歳まで日本で教育を受けた場合は、初歩的な日本語の読み書きが出来ているので、ほぼ母国語として確立できています。この年齢で海外インター校に移ると、日本語の干渉がやや大きい状態ですので、初めは苦労すると思います。

 

それでも早い子で3か月、遅くても通常は1年程度で発話し始め、1年半ほど経過するとネイティブには劣るものの、学校生活が問題なく送れるレベルにはなるようです。日本語の基礎力を足掛かりに、漢字や読解などの学習も意識的に取り入れれば、英語と日本語の両立も努力次第では不可能ではありません。

 

7歳~9歳まで日本にいて、急に海外インター校に入学した場合、慣れるまでに相当な時間と労力を費やします。最後まで慣れずに諦めるケースも珍しくありません。

 

この年齢が難しいのは、外国語として英語を学習させようとしても、文法の抽象的な概念を理解するには幼すぎるからです。無意識のうちに学ぶのには年齢が高すぎて難しい。そうかと言って、大人の外国語学習のように、文法を習いながら学習するのも難しいのがこの年齢の特徴です。

 

10歳以降の場合は、外国語として英語を学ぶのが通常のアプローチとなります。かなりの程度準備したお子さんでも、最初のうちはレベルのギャップに苦しむことは間違いないです。それまでに獲得した経験や知識でそれらを補いながら、学んでいくことになります。

 

 

第二の要素「その言語に費やした時間」

 

能力が高かったとしても、語学学習に費やす時間が少なければ、やはり成長は望めません。海外インター校に移って、英語力がグングン伸びる一方、日本語に触れる時間は圧倒的に不足するので、当然の結果として日本語力が落ちていきます。

 

言語の分野で特殊能力を備えた人であったとしても、やはりある程度の時間は必要です。

 

「日本人は義務教育+高校で6年間英語の授業を受けているのに、英語が話せない。」

 

という話はしばしば耳にしますが、よくよく聞いてみると学習時間が圧倒的に足りていません。能力に問題がない人で英語が出来ない人は、そのことが分かっていないと思います。

 

 

第三の要素「先天的な能力(頭の良さ)」

 

教育者であれば頑張れば誰でも出来る、と信じるべきなのかもしれませんが、現実はそうではありません。やはり、先天的な能力=頭の良さ、が言語能力を決める重要な要素の一つになっていることは間違いないでしょう。

 

身長に関しては先天的な違いを認めて、能力には先天的優劣を認めないというのは無理があります。これがあまりに低いと、他の要素に問題がなくてもどうにもならないことが起きるでしょう。

 

まれに複数の言語を自由に操る人がいますが、特殊能力といっても過言ではありません。おそらく全人口の0.5%未満しかいないのではないか、と思います。

 

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