進行形の指導と動作動詞・状態動詞3

進行形の指導と動作動詞・状態動詞3

前の二項(「進行形の指導と動作動詞・状態動詞1」「進行形の指導と動作動詞・状態動詞2」)では、進行形指導の注意点、be動詞の本質的意味、動作動詞と状態動詞の区別などを正確な理解の観点から見つめてきました。

 

ここでは、そうした理解から一見すると外れているように見える、いわゆる「例外扱いされる進行形」について考えてみます。

 

 

例外扱いされる進行形

 

状態動詞は進行形にすることができないと述べてきました。

 

ところが参考書を読むと、「場合によっては状態動詞も進行形にできる」といったことが書かれています。

 

ここが多くの学習者が混乱するところです。
「状態動詞が進行形になるってどういうこと?」となってしまうのです。

 

この混乱は文法用語の扱いとして、動作動詞と状態動詞という二つの種類に動詞を分けてしまったために起こってしまうのですが、この問題を解決し、実際の英語使用を適切に指導するために大切なことがあります。

 

それは、文法用語に縛られすぎてはいけない、ということです。

 

私が英語の本質的理解を大切にしている理由はそこにあります。

 

文法用語による解説に従えば、表面的には「状態動詞は進行形にできない」はずであり、したがって「進行形にできる状態動詞」は矛盾をはらんでいることになります。

 

しかし大切なのは、これまでに述べてきたように、「時間の流れと動作の状況を本質的にとらえること」であり、文法用語に考え方を左右されてしまうことではありません。

 

 

進行形の「今~しているところ」は始まりと終わりがあるために限定的である、ということを一項目で述べました。

 

この点から言えることは、進行形の表す動作には「時間の制限がある」ということです。
具体的に何時から何時まで動作を行っています、というふうな制限ではありません。

 

始めた以上は終わりを迎えるときがくる、という意味での制限です。

 

 

私は授業で進行形を解説するとき、よく「進行形は時間の切り取りだ」と言います。

 

長い永遠の時間の流れの中で、そのほんの一部分を切り取って、その切り取った時間の端には始まりの瞬間があって、もう一方の端には終りの瞬間がある。

 

その間の「真っ最中」を表すのが進行形だと解説します。

 

始まりと終わりを前提にした行為の真っ最中ということは、その動作はほんの限られた時間のできごとでしかないというのが進行形の本質であるとして扱うのです。

 

そのことが分かっていれば、状態動詞が進行形になることにも納得がいきます。

 

 

本来は始まりと終わりを想定しない状態動詞をあえて進行形にするということは、その動作の始まりと終わりを無理やり作り出すこと、つまり
「いつもとは違ってある一時だけはこんな状態になっている」という、限られた一時的状況を作り出すということになるのです。

 

 

「動作動詞しか進行形にできない」、と文法用語のみを用いて表面的な解説をすれば進行形になる状態動詞は矛盾でしかありません。

 

しかし、「限られた時間のできごと」という進行形の抱える本質的意味を持ち出せば、動作動詞であれ状態動詞であれ、進行形にしてもしっかりと意味を持たせることができることになるのです

 

 

例を挙げてみます。

 

たとえば、普段からわがままで自分勝手で人の手助けも親切な行いもしないA君がいるとします。He is not kind.「彼は親切ではない」としておきましょう。
be動詞はコントロールできない状態動詞ですから進行形にはできないはずです。

 

ところがある日、道端でA君がお年寄りの重たそうな荷物を持って、親切にも手をつないで道案内までしてあげている光景を見たとします。
普段はそんなことなどあり得ないほど不親切なA君が、どういうわけかそのときに限ってはとても親切にしている。

 

そのような状況を見たとき、
He is being kind today.
「今日の彼は親切だな」とか「今日はやけに親切に振る舞っているな」
のように状態動詞であるbe動詞を進行形にすることができるのです。

 

(ちなみに、さらにマニアックなことを言えば、このときのbeingは状態動詞だとは限りません。親切さは何をもって親切さになり得るかというと、その人の行いです。何もせずにただいるだけでは親切さは生まれませんね。誰かのために行動するから親切なのだと思われるわけです。だから厳密にいえば、He is being kind today.は「彼は今日親切な行いをしている」という意味で、beingは「行っている」という意味の動作動詞にもなり得るのです。)

 

 

その他の例として、
I am living in Osaka now.
「私は今大阪に住んでいます」

 

といった文章がよく見受けられます。
これは普段から大阪在住ということではなく、仕事や何らかの事情によって「今の間だけ一時的に大阪に住んでいる」ことを含意します。

 

繰り返しになりますが、状態動詞を進行形にするときは「一時的に」という進行形本来の意味が強く表れるのだということを知っておいてください。

 

 

最後に、大学入試では進行形を選ぶと絶対に不正解になってしまう状態動詞resemble「似ている」について述べておきます。

 

別項「「未来表現」を分かり易く指導する1」で進行形が近い未来を表すことができることを述べました。

 

「~している真っ最中」を意味する進行形は、その発話の時点で動作が突然終了するわけではありません。
He is playing soccer now.
「彼は今サッカーをしている」

 

「今している」ということは、少なくともサッカーを終えるまでその動作を継続的に行うことが容易に予想されます。

 

したがって、進行形は発話段階において、少なくとも発話時から未来に向かってある程度の時間、動作が続いていくことが想定されることも意味に含んでいます

 

それゆえに進行形には未来志向的側面があるのです。

 

だから、
I’m visiting my uncle this weekend.
「週末はおじを訪れることになっている」
とか
The flower is dying.
「花が枯れつつある」
と言った未来の文として扱われるわけです。

 

その点から、resembleを進行形にしてHe is resembling his father.といった文章を作るとき、
「彼は父親に似てきている(似つつある)」
という意味を表すことができる、ということになるのです。

 

これもまた、状態動詞だから進行形にしてはいけないという文法用語の問題に縛られていては理解することができません。

 

文法用語の縛りから解き放たれ、進行形の持つ未来志向性という意味的側面を考えるとき、be resemblingはその意味の反映として理解することのできる正しい文章となるのです

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