進行形の指導と動作動詞・状態動詞2

進行形の指導と動作動詞・状態動詞2

さて、今度は少し違う角度から進行形を見つめてみましょう。

 

少し違う角度というのは、進行形における動作が行われている時間の見方です。

 

 

「~している最中」の反対を考える

 

中学1年生で登場する進行形は「今~しているところだ」という意味でまず教えます。

 

「今~している」ということは、裏を返せばその動作は限定的であり、「それを行っていない時間もある」と理解することもできます

 

She is singing on the stage.は「彼女は今ステージで歌を歌っている最中であること」を意味しつつ、それは「今でこそ彼女は歌っているが、逆に言えば歌っていないときもある」と解釈することもできます。

 

歌っているときもあれば、歌っていないときもある、ということは、歌っているという動作そのものは、歌い始めと歌い終わりがあるということになります。

 

始まりがあれば終わりもある

 

つまり進行形で表現される動作は、始まりと終わりを連想させる動詞を用いなければならない、ということでもあるのです。

 

 

進行形にできる動詞(動作動詞)とできない動詞(状態動詞)を暗記ではなく理解する

 

なぜこのような細かい解釈を説明するかというと、進行形にできる動詞とできない動詞の区別をきちんと明確にできるようになってもらいたいからです。

 

参考書には進行形にできる動詞は動作動詞、できない動詞は状態動詞であると書かれています。

 

大学入試などでも、動作動詞と状態動詞の区別を問う問題は定番であり、試験問題への対応力としても両者の区別ができる力は必要です。

 

しかし、無数にある動詞の全てを動作動詞と状態動詞に分類して丸暗記することはできません。

 

そこで生きてくるのが、上記のような解釈なのです。

 

 

「始まりと終わりを連想させる動詞」が進行形に用いられると述べました。

 

ということは、「始めることも終えることもできる動詞」が進行形にできる動詞だと言うこともできます。

 

たとえばsing「歌う」という動詞を想像してください。あなたが歌い手であるとして、自分で歌い始めて、歌い終えることができますか?

 

できますね。だからこれは進行形にすることができるのです。

 

ではrun「走る」はどうでしょう?自分で走り始めることと走り終えることはできますか?

 

もちろんできますよね。

 

read「読む」、write「書く」、dance「踊る」はどうですか?

 

どれも始めることも終えることもできますね。

 

これらが動作動詞と呼ばれ、進行形にできる動詞として知られているものの姿なのです。

 

ちなみに、上記の観点から言えば、動作動詞は自分からその動作を起こすことができるものであるため、これを意志動詞と呼ぶこともあります。

 

 

ではresemble「似ている」はどうでしょうか?誰かに似ることを始めて、しばらくしてから似ることを終えることはできますか?

 

できませんね。たとえばAさんがBさんに似ているとして、Aさんは自ら行動としてBさんに姿を似せているわけではありません。
いつの間にか似ているのであり、いつか似ていなくなるわけでもありません。

 

つまり、動作の始まりと終わりが連想できないのです。

 

love「愛する」はどうですか?自分からで愛し始めて愛し終えることはできますか?

 

これもできません。いろいろな状況によって愛が始まったり終わったりすることはありますが、自分の意志でコントロールして自由に愛したり愛することを途中でやめたりできるわけではありません。感情というのはそれほど理性的なものではないはずです。

 

resembleと並んで入試でよく問われるknow「知っている」についても同じことが言えます。

 

たとえば「進行形はbe+~ing形である」という知識を持っているとして、これを今から急に知らなくなったり、数時間後に自らやっぱり知っていることになったりはできません。
知っているものは知っているのです。始まりと終わりの区別が存在しないのです。

 

be動詞もそうです。

 

I am a boy.「僕は男の子だよ」と言うとき、自分で男の子になり始めたり、いつか男の子であることを辞めたりすることはできません。

 

このように、動作の始まりと終わりを操作したり明確に区別したりすることのできない動詞が状態動詞と呼ばれる動詞です。

 

そして状態動詞は、始まりと終わりを操作できないからこそ「今(だけ)~している最中だ」、つまり始まりを終わりを想定している進行形に用いることができないのです。

 

ちなみに状態動詞は、自分の意志に関わらず「そうなってしまっている動作」であるため、意志動詞と区別して無意志動詞と呼ばれることもあります。

 

 

ところで状態動詞の説明について、「似ている」「知っている」のように、日本語に直したときに「~ている」という言葉がはじめから入っているから進行形にできないのだ、という解説をする人がときどきいます。

 

しかしこれは賢明ではありません。

 

be動詞の例でも見たように、状態動詞は必ずしも「~ている」の訳語が与えられる動詞ばかりではありません。

 

loveやbelieveなどのように、「愛している・愛する」、「信じている・信じる」という具合に文脈によって日本語訳が変わってしまう状態動詞も存在します。

 

それに、日本語と英語は全く異なる言語であり、英語の感覚を磨く上でも訳語に頼る理解は避けた方が良いでしょう。

 

 

まとめると、動作動詞は動作の始まりと終わりを自由にコントロールすることができる動詞で、状態動詞はそれを自由にコントロールできない動詞ということです。

 

動作動詞は、コントロールできる動作だからこそ始めたり終えたりすることができ、そこが進行形の持つ始まりと終わりのイメージとぴったり合うから、進行形にできるのは動作動詞ということになるのです。

 

このような視点から、動作動詞と状態動詞の違いを暗記によらずに理解させ、その使用を促すことは十分に可能です。

 

特に初期の段階では、生徒たちにただ想像させるところから始めれば良いのです。

 

「自分で行い始めて、また自分で終えられますか?」と。

 

動作によっては実際に実演させても良いでしょう。

 

このようにして進行形のイメージと使い方を定着させていってください。

 

次項「進行形の指導と動作動詞・状態動詞3(こちらをクリック)」では、例外扱いされる進行形について見ていきます。

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