進行形の指導と動作動詞・状態動詞1

進行形の指導と動作動詞・状態動詞1

進行形には大きく「現在進行」、「過去進行」、「未来進行」、「完了進行」があります。

 

形としては「現在進行=現在形のbe+Ving」、「過去進行=過去形のbe+Ving」、「未来進行=未来表現will / be going to+be+Ving」、「完了進行=(will) have/has/had+been Ving」です。いずれも「be+Ving」が共通しています。

 

時制にかかわらず、「be」と「Ving」が手をつないでいる姿が進行形の核となる部分です。

 

中学1年生で現在進行形を導入しますが、このとき、「現在形のbe+Ving」の形で「~している」という意味を表す、と教えることがほとんどでしょう。

 

しかしそのとき、気をつけなければならないことが二つあります。

 

 

日本語の「~している」の多義性

 

一つは、「~している」という日本語を正確に教えることです。

 

進行形で言う「~している」とは、「ある動作が具体的に実行されている最中であること」を意味します

 

しかし日本語では同じ「~している」でも、全く異なる意味を表すことがあります。
次の会話を見てください。

 

A:「お昼ごはんでも一緒にどう?」
B:「すみません、今日はもう食べているので、よければまた明日誘ってください」

 

Bさんの言う「もう食べている」という日本語の意味するところは、「すでに食べ終わっている」という完了の意味です。

 

次の会話はどうでしょう。

 

A:「最近山田くんをよく見かけるけど、彼はここが好きなのかな?」
B:「ええ、そうだと思います。昨日も来ているみたいですし」

 

Bさんの言う「来ている」は「来た」という過去を意味しています。

 

このように日本語の「~している」は完了や過去を表すことのできる多義性を抱えた表現です。
日本語にはこのような表現はいくつもありますから、必ずしも与えられた日本語に英語表現が完璧にマッチするわけではないことを知り、正確な意味の指導に繋げるようにしてください。

 

つまり進行形の導入に関しては、「ある動作が具体的に実行されている最中であること」を強調し、それ以外の意味での「~している」は進行形ではないことを、多様な例文を用いて定着させるようにしてください

 

 

「be+Ving」をセット扱いしすぎない

 

進行形を導入する際に気をつけなければならないもう一つのことは、「現在形のbe+Ving」がまとまった一つの動詞部を形成していることが強調されすぎないようにすることです。

 

ほとんどの生徒は進行形を「be+~ing」=「~している」と覚えるでしょう。
もちろん指導者がそのように教えるからです。

 

ただ、確かにそれでも決して誤りではないのですが、beとVingがセットになることがあまりにも刷り込まれすぎると、現在分詞が単独で名詞を修飾したり、interestingなどの分詞形容詞、とりわけ感情を表す動詞が形容詞化した分詞を学習したりする際の弊害となることがあるため、Vingは単独の分詞として機能するものであることを、いずれはきちんと理解させなければならないのだと心に留めておかなければなりません
(文型としても、S be+Vingが構造上はSVCであることが理解できなくなったりすることもあります。)

 

中学1年生の導入段階では「現在形のbe+Ving」と教えつつも、徐々にbe動詞と現在分詞のはたらきをそれぞれ意識することができるようにする必要があると私は考えています。

 

 

進行形の意味を深く理解する

 

ではここから、進行形の意味について考えていきましょう。

 

進行形の意味を考える上でまず注目したいのはbe動詞です。

 

be動詞の本質は「~の場所にいる/ある」、つまり「所在」です。

 

He is in his room.「彼は自分の部屋にいる」と言ったとき、文字通り「彼は部屋という場所にいる」を表します。こうした物理的場所を表す例文が最も分かり易いでしょう。

 

そこからイメージを膨らませていきます。

 

少し抽象化してI am a member of the tennis club.「私はテニス部のメンバーです」と言ったとき、これは本質的には「テニス部のメンバーの一人としてテニス部にいる」という意味を表します。
「テニス部のメンバーという入れ物」の中に存在しているようなイメージです。

 

さらに抽象化してI am sick.「私は体調が悪い」と言えば、体調が悪いという事実を「体調の悪さの詰まった箱」のようにイメージして、その中にいるから「体調が悪い」ととらえます。

 

少し理解しにくいかもしれませんが、英語はイメージ言語だと言われるほど、漠然としたイメージから言葉に意味を持たせることに長けた言語ですから、一定の慣れは必要です。

 

機嫌が悪いときにI’m in a bad mood.などと表現することができるのも、文字通り「悪い気分の中にいる」と、機嫌の悪さを、「悪い気分という感情の箱」のようなものとしてとらえているからです。

 

このようにbe動詞は、「部屋」などの具体的で物理的な場所はもちろん、「テニス部」という抽象的な空間や「病気である」、「機嫌が悪い」などの状態に至るまで含めて、すべて「場所」のイメージでそこに「存在する」ことを表す動詞だと言えます

 

さて、進行形に話を戻します。

 

上記のことを踏まえると、進行形は「~ingという場所の中にいる」ことを表すと言えます。

 

Vingは現在分詞と言って、動詞が形容詞になったものです。
「(一時的かつ能動的に)~している」という意味で、とらえ方としては、上に挙げたI am sick.のように、「(一時的かつ能動的に)~している状態の箱の中にいる」と考えるといいでしょう。

 

She is singing on the stage.「彼女はステージで歌っている」と言えば、「歌っているという状況の箱の中」に彼女は「いる」というとらえ方です。

 

こうした理解が正確にできてこそ、注意点でも述べたような「be+Ving」をセット扱いしすぎない認識に繋ぐことができますから、本質的な意味を大切にしてください。

 

次項「進行形の指導と動作動詞・状態動詞2(こちらをクリック)」では、また少し違った角度から進行形を見つめてみます。

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