ライティング力を向上させる観点

ライティング力を向上させる観点

ライティングを向上させるために必要な観点

 

これまで学校英語の中では後回しにされてきた感のあるWritingのスキルが、にわかに重要性を増してきています。

 

ここで扱うWritingとは、与えられた日本語の文章を英訳する、という能力ではありません。

 

自分の考えを論理的に展開しながら英語のエッセイを書く能力です。

 

後回しにされてきたのは軽視されてきたというよりも、難しすぎて大学入試でも要求されなかったから、という方が正しいような気がします。

 

学校の先生をされている方でも、スラスラ書ける、という人の方が少ないのではないでしょうか。

 

しかしながら、発信型スキルがこれからますます求められることは間違いなさそうですので、英語教員も早めにWriting向上のための指導力や指導法を身につけておかないと、困ったことになりそうです。

 

ましてや高校生ですと、英語がかなり得意な生徒でも、A4の紙一枚に自分の考えを書けるようになるには相当の訓練が必要であり、たとえ小学校から英語を始めたとしてもそのレベルに到達するのは容易ではありません。

 

書店に行っても海外の大学への留学生向けや研究者向けに書かれた参考書はあっても、高校生のために書かれた分かりやすい参考書はまだないのではないでしょうか?

 

書くことによってしかスキルが向上しないのは間違いありませんが、書いた時にどのようにその文章を評価し、良くしていけばいいのかという作業には、客観的な観点が絶対に必要です。

 

教師も生徒も共通の物差しを使用して、評価し伸ばしていくというのが大切だと思います。

 

イギリスの小学校ではどのように指導されているかを知る

 

そこでイギリスの小学校では、ライティングの指導をするときに、どのような観点から生徒の書いた文章を評価し、伸ばそうとしているのかを参考にしてみることにしました。

 

もちろんネイティブの子どもとノンネイティブの高校生では前提条件が、参考にならないこともあるかもしれません。

 

大学受験で求められる作文能力は、ネイティブが良しとする文章とは異なるかもしれません。

 

それでもひとまず理解し、今後の指導の参考にすることは大切だと思います。

 

今回の原稿を書くにあたり、イギリスにあるBradway Praimary Schoolのサイト(http://www.bradwayprimary.co.uk/)にある資料を参考にさせていただきました。家庭での親の指導用に作られたPDFですが、よくまとまっていますので、皆さんも参考にしてみてください。

 

VCOPとは何か?

 

イギリスの小学校の教室に入ると、先生が作った掲示物の中で“VCOP”と書かれた物をよく見かけます。

 

これはVocabulary, Connectives, Openers and Punctuationの頭文字で、読み方は「ヴィーコップ」です。

 

つまり、語彙、接続詞、書き出し、句読法のフィルターを通して、自分の文章を見直していくように促されています。

 

それぞれのカテゴリーはピラミッドで表現されていて、下に行くほど高度になるように配列されています。

 

それでは一つひとつ見ていきながら、どのようにして子ども達のwritingのスキルを伸ばそうとしているのかをチェックしていきましょう。

 

Vocabulary(Wow words!)

 

まず、使用する語彙の観点です。名詞、形容詞、動詞、副詞について、自分が普段使う言葉より一段高度な言葉(Wow words)を使用することが求められます

 

例えば、「美味しい」という形容詞にいつも、“delicious”ばかり使うのではなく“scrumptious”を使ってみる、ということです。

 

動詞+副詞で表現していたのを動詞一語でズバリと表現することも求められます(walk silently intoと書いていたのをsneak intoと書いてみる、など)。

 

英語は同じ言葉の使用を嫌いますから、シソーラスなどを調べさせて、表現の幅を広げることも大切です。

 

日本人の学習者にそこまで要求するのは酷かもしれませんが、passive vocabularyとactive vocabularyの差を出来る限り縮めておく努力も多少は必要かもしれません。

 

Connectives

 

and, but, or, soなどの等位接続詞だけでなく、when, while, before, ifなどの従属接続詞も積極的な使用が奨励されます。

 

これに加えて、論理的な文を書く時には欠かせない、副詞(句)もこれに含まれます。(
furthermore, moreover, however, nevertheless, first of allなどが相当します。)

 

これが適切に使いこなせるようになると、文章がグッと引き締まり、読みやすい文章になるでしょう。

 

and, but, soを文頭に持ってきてはいけない、というのは基本的な作文ルールのひとつですが、高校生で知っている生徒はほぼいないのではと思います。

 

Openers

 

日本人の英語学習者にはなじみのない観点かもしれません。

 

イギリスの小学校では、単調な文章を避けるため、書き出しのバリエーションを増やすということが求められます

 

小さい子が書く文章は、I, they, he, she, then, soから書き始めることが多く、日本の小学校での作文でも「ぼくは」「それから」という書き始めが多いのと似ています。

 

この時に役に立つのが(ISPACED)という観点です。

 

これは書き始めの部分のスタイルの頭文字をとったもので、「アイスペイスト」と呼ばれています。

 

-ing(現在分詞に導かれる分詞構文)
Running towards the sparkling sea, Megan couldn’t wait to jump in!

 

Simile(直喩)
Like a bottle-nose dolphin, she swam up and down, in and out of the waves.

 

Preposition(前置詞)
Underneath the water, Megan could see a shoal of colourful fish.
 
Adverb(副詞)
Silently, she then tiptoed over to a rock pool to see if she could see a crab.
 
Connective(接続詞、接続詞的な副詞)
Meanwhile, Megan’s parents fell asleep in the warmth of the sun.

 

-ed(過去分詞に導かれる分詞構文)
Exhausted from all her activities, Megan lay down on her brightly coloured towel and drifted off to sleep as well.

 

Dialogue(セリフ)
“Wake up!” cried mum. “The tide is coming in. Grab your things before we get wet!”

 

分詞構文は書き言葉で使用されるものとして理解されていて、それは正しいのですが、めったに使われないどころではなく、writingの授業では小学生レベルでも積極的に使うように指導されます

 

Punctuation

 

いわゆる句読法です。

 

「文章の最後は必ずfull stopを打ちましょう。」

 

は低学年の生徒には繰り返し指導されます。学年が上がるにつれて、speech marks(“”)やコロン(:)を使えるように求められていきます。

 

コロンとセミコロンの使い分けなどは、ノンネイティブできちんと説明できる人はほとんどいないのではないかと思います(いつか別の機会に説明したいと思います)。

 

まとめ

 

いかがでしたか?

 

高校3年生までに、こんな技能を習得することが本当に可能なのかと思いますが、あせって基礎的な学習をおろそかにしては、かえって遠回りになることでしょう。

 

試験対策としてだけ考えれば、難しい個所を回避するテクニックがそのうち広まるかもしれませんが、それでは英語教育改革の意味が薄れるような気がします。

 

やるべき学習をきちんと積み上げて、初期の頃から短い英文に書き慣れておく訓練を継続して、ようやくエッセイに取り組む前段階に到達できるということです。

 

このサイトでは今後、ライティングに関する記事を増やしていきたいと考えています。