英語指導者の言葉

英語指導者の言葉

指導者にとって言葉は大変重要な意味を持ちます。スポーツ指導者が子供たちをやる気にさせ、そのスポーツを好きになるようなポジティブな気持ちにさせるのも、言葉によるところが少なくありません。

 

ただ大声で叱るだけや人格を否定するような発言をするコーチ(指導者)がふさわしくないのは当然です。これは英語の授業にも当てはまることで、気をつけなければなりません。

 

ところで一歩進んで、英語文法や語法の指導の中でも、「言葉選びは非常に大切である」と私は考えます。それは、モチベーションを上げるための言葉ではなく、内容を的確に理解させるための言葉です。

 

今回はこの「言葉」について、考えてみたいと思います。

 

優れた指導者の優れた比喩表現

 

日常会話や会議など様々な場面で、

 

「~の問題は、まるで○○が××しているようなものだ。」

 

というように、人はたとえ話をしばしばします。

 

このような場面で比喩表現(たとえ話)を使う目的は、難しいことを相手にやさしく伝えるためです。そのため、使用する比喩表現は本当によく考えたうえで使用しないと、かえって理解を難しくしたり、誤解が生じたりすることになりかねません。

 

以前、竹中平蔵さんの書いた著作の中で、「たとえ話が出てきたら疑いなさい。なぜなら、論理が破たんしていることが多いから。」という内容を読んだことがあります。

 

政治家のコメントには頻繁にたとえ話が出てきますが、冷静に聞いていると意味不明のことも少なくありません。そもそも、たとえ話そのものが不要であることが多いです。

 

他人の批判は簡単ですが、私たちも授業の中で、生徒に対して筋の通らないたとえ話をしていないでしょうか? たとえ話は、適切な例を選んで持ち出すべきです。

 

具体的に言うと、現在形の説明の時に私は「いつものこと形」という表現を用いています。(詳細は「意外と難しい!現在形を簡単な言葉で指導する」の記事をクリック)これは現在形が現在の事だけでなく、過去-現在―未来を含む幅のある時間を表現しているからです。

 

このような場合、現在形を「いつものこと形」と置き換えるだけで、初めて学習する生徒でも簡単に理解できるようになります。

 

 

失敗を指摘するだけではなく、分析し手段を伝える

 

もうひとつ、よくやってしまいがちな過ちがあります。それは、「間違いを指摘するだけで、改善するための手段」を示さないことです

 

たとえば、あなたが野球チームのコーチだとします。センターの子どもがフライを取れずに、試合に負けたとします。その時に「ちゃんとボールを取れよ!」と言うのは、ほとんど役に立っていません。

 

ボールをキャッチ出来なかった理由を分析して、その解決法を伝えなければなりません。「緊張して捕球が出来なかったのかも。普段の練習の時にから試合を想定した緊張感をもって練習に取り組もう。」

 

とか、

 

「ボールから目を離さないように落下地点まで走る練習が足りてないね。」

 

というようなアドバイスが必要です。

 

将来を見据えて、正しく基礎を教える

 

「とりあえず」という姿勢は便利です。なぜなら、難しいことを考えずに、物事を単純化して処理すれば楽だからです。

 

ところがその時に手間を省いた代償として、その後の指導や生徒の理解に困難が生じることが多々あります。その時も指導した本人が継続して指導していればまだいいのですが、多くの場合、指導者は変わりますので余計に困難となります。

 

たとえば、未来表現におけるbe going to と will の二つを「どちらも未来のことを表す」と単純化して中学生に指導したとしたら、高校で両者の違いについて学ぶときの大きな障害となります。(詳細は「英語未来表現を分かりやすく指導する1」の記事をクリック)

 

「将来を見据えた指導をする」ということは、先で応用するための基礎を正しく教える、ということです。とりあえず「単純化」したり「間違ったこと」を教えたりすることではありません

 

「とりあえずの指導」をすると、その後の学習過程において、より高度なものに触れた時に、せっかく覚えたものを一度解体して、「もう一度基礎レベルからやり直す」することになり、生徒と指導者の負担を増やしてしまいます。

 

 

いい言葉に触れたら、マネをしよう

 

他の英語教員の授業を見る機会があったら、言葉に注目してみてください。教えるのが上手いとされている方は、多くの場合「伝わる言葉」「刺さる言葉」を持っています。もし気に入った比喩表現があったら、授業でも使えるようにストックしておきましょう。

 

また、生徒の間違いを訂正する時も、結果だけを指摘するのではなく、どうしたら正しく答えられたのかという適切な手段を示すべきです。

 

中学校の先生にはぜひ、高校に上手くバトンタッチできる授業を生徒のためにお願いします。高校の先生は、うまいバトンが回ってきたらそれを最大限に生かす必要があります。お互い批判しあうのではなく、顔は見えなくても協力し合うという姿勢が大切ですね

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