英語教師が身につけるべき心理学(一貫性の原理)

英語教師が身につけるべき心理学(一貫性の原理)

英語教師が身につけておくべき、人を動かす心理学

 

学校などの教育現場では、英語教員は主に授業の中で、生徒に指示を出したり、ほめたり、励ましたりしています。

 

語学を習得するには膨大な練習時間が必要なので、生徒達を学校外でも学習させるように動かさなければなりません。

 

その時に心理学の基本を知っておくと、より効果的に・理想的に生徒を動かす(=英語学習に向かわせる)ことができるようになります。

 

英語を指導するのが上手い先生は、これらのテクニックを自然と身につけている人がほとんどですが、それほど長い経験がなくとも、心理学の知識を学ぶことで、生徒を思う方向に動かすことは充分に可能です。

 

教員の仕事に限らず、人間にかかわる仕事で何か成果を出したいのであれば、心理学は確実に役に立ちます。これを知らないで、仕事を続けているのは、時間や労力を相当無駄にしていると思ったほうがいいです。

 

 必読書二冊

 

『影響力の武器 なぜ人は動かされるか』ロバート・B・チャルディーニ
『影響力の武器 戦略編:小さな工夫が生み出す大きな効果』ロバート・B・チャルディーニ他

 

いずれもかなり厚い本ですが、この手の本にしてはすぐに読める内容です。

 

最初の方にはベースとなる理論が書いてあります。これだけ読んでも十分価値はあるのですが、戦略編のほうにはスモール・ビッグ(小さな工夫が生み出す大きな効果)の具体例が多数取り上げられており、教師の仕事にも応用出来そうな事例へのヒントとなります。

 

ここに書かれていることを簡単にまとめると、
人間は合理的に考えて行動しているようで、実は、無意識のうちにいくつかの原理によって行動をコントロールされている、ということです。

 

雑誌を見ていると、「幸運を呼ぶブレスレット」の販売広告があるのを読んだことがある方も多いと思います。

 

雑誌の種類にもよりますが、1ページを割くような広告はおそらく100万単位で広告費を支払っているはずです。それが毎月、毎週、掲載されているのかという事実を真剣に考える必要があります。

 

広告主は、損をしてまで毎月、「幸運を呼ぶブレスレット」の宣伝をするでしょうか?

 

間違いなく彼らは、儲かっているのです。決して小さくない広告料を支払っても、それを上回る売り上げがあり、利益を得ているのです。

 

話を学校に戻しましょう。

 

日頃授業をしていて「生徒が英語の宿題をきちんとやらない」「グループ活動が思ったように盛り上がらない」など悩みはいろいろあるとは思いますが、「幸運を呼ぶブレスレット」を販売するほうが、難易度は高いはずです。

 

もう察しがつくと思いますが、雑誌の広告には消費者に行動させる(購入申し込みをさせる)ための巧妙な心理学的なテクニックが駆使されています。

 

巧妙なキャッチコピー、お客様の声、写真に隠されたメッセージ等、実にうまく構成されています。

 

これらのテクニックは決して悪用されてはいけないものですが、教育現場でより効果的に生徒を英語学習に向かわせることが出来るのであれば、心理学の知識は絶大な効果を生み出すことでしょう。

 

「一貫性の原理」

 

例えば、「一貫性の原理」というものがあります。人は自分の発言や価値観と矛盾しない行動を取ろうとすることです。「人間は一度決めたことをやり通そうとする」のです。

 

以前、個人指導で小学生に英語を教えていた時のことです。8センテンスくらいのダイアローグを暗唱させようと翌週の宿題に出すのですが、なかなか十分に練習しませんでした。

 

ある時偶然に、「一日の中で3回だけ時間を取るとすると、いつが大丈夫?」と彼女に質問しました。しばらく考えた後「朝、バスを待っている時間。帰ってきて、おやつを食べる前。最後は、寝る前」と答えました。

 

翌週、驚いたことに彼女はきちんとダイアローグを暗唱していました。聞いてみると、自分が宣言した通りに、練習をしたとのこと。今考えれば、これはまさに「一貫性の原理」の力によるものとすぐに分かります。

 

「一貫性の原理」をより強く働かせるには?

 

別のケースでも思い当たることがあります。テキストの音読が大事であるという話をした後、明日から家族旅行に5日間行く予定があることを知りました。

 

子ども:明日から家族旅行に行きます。
わたし:それは、楽しみだね。行っておいで。音読はどうしようか?
子ども:(ちょっと考えて)旅行に教科書を持っていって、朝と夜だけ読みます。
わたし:なるほどね。そうすれば、読めるね。

 

一週間後、彼女はきちんと指定した場所の音読練習をこなして、上手に読めるようになっていました。

 

この時私は、(旅行先でも音読して欲しいと思いながらも)あえて彼女に宣言させたのです。もう一つポイントになったのは、その場にご両親がいたことです。私とその子だけでなく、その他の人も見て聞いています。

 

「一貫性の原理」には公共性が大きいほど、制約が強くなるという特徴があります。

 

駅伝で成果を出した大学の合宿所には、個人で書いた目標や練習メニューが全員見られる場所に貼ってあります。このコーチは明らかにこの「一貫性の原理」を利用して、陸上部に大きな成果をもたらしています。

 

宿題の出し方、家庭学習での目標の立て方など、なんとなく慣例に従うのではなく、一度この「一貫性の原理」を活用してみましょう。きっと、少なくない違いが成果としてあらわれてくるはずです。

 

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