英検の面接官の役割を通じて指導者の英語力が向上する話

英検の面接官の役割を通じて指導者の英語力が向上する話

私たち指導者の英語指導は、授業で教えたりテキストや問題集を抱えて質問に訪れてくる生徒たちの対応をしたりすることだけではありません。

 

英語面接を伴う大学入試や実用英語技能検定(以下英検)の二次試験の対策などを行うことが求められることもしばしばあります。

 

こうした英語面接の対策では、指導者自身が面接官役となって直接生徒と英語でやり取りをしながら指導をします。

 

 

私もこれまでに数えきれないほど生徒の面接練習を行ってきましたが、その経験を通じて気が付いたことがあります。

 

それは、面接官の役割を演じること、つまり自分自身が英語を話さなければならない状況に置かれることが、生徒の対策の成功以上に自分の英語力の向上にとても役立つということです。

 

ここでは特に英検二次試験の対策を通じて指導者自身の英語力が向上させられることについてお話ししていきます。

 

 

発話がパターン化されている英検は音読訓練の格好の場

 

英検の二次試験がどのような流れで行われ、また面接官がどのような発話をしながら試験を進行していくのかという内容は、市販の対策用テキストにも詳しく書かれているため、実際の面接官の経験が無くても知ることができます。

 

級によって試験内容が異なるため、受験者に与える指示文などに多少の違いはありますが、面接官目線から見たおおまかな流れとしては、概ね以下の通りです。

 

まず①受験者が入室し、②受験カードを受け取り、③着席させ、④お互いの名前を紹介し、⑤受験級を確認し、⑥How are you?などの簡単なやりとりをし、⑦問題カードを渡します。

 

この①~⑦の中で次のような発話が行われます。

 

①Please come in. Good morning. / Good afternoon.
②May I have your card, please? Thank you.
③Please have a seat.
④My name is 〇〇. May I have your name, please? Nice to meet you.
⑤This is the Grade 〇(受験級) test, OK?
⑥How are you (doing today)?
⑦Here is your card.

 

とても簡単なやり取りですね。
ここまでは生徒もGood morning. / Good afternoon.、Here you are.、Thank you.、My name is 〇〇.、OK.、I’m fine.など、シンプルな表現を用いた発話で十分こなせますから問題ありません。

 

 

しかし大切なことは、どれだけ簡単な英文を用いたやりとりであっても、面接官役の指導者は多くの生徒の対策のために何度も何度も同じやりとりを繰り返し、それが自然に発話の訓練となることです。

 

はじめのうちは手順を間違えてはいけないという心理から①~⑦までをマニュアルを見ながらぎこちなくでしか進められないということもあるでしょう。
しかし数人から十人程度もこれを繰り返すと、手順も投げかけるべき発話も頭に刷り込まれ、マニュアルなどを参照しなくてもできるようになります。

 

ここで重要なのは、やり取りの流れが頭の中に入りマニュアルを必要としなくなったことで、たとえば言葉と共に手で椅子を示すなどして着席を促したり、相手の目を見ながらやり取りをしたりすることを含めて、「より自然なコミュニケーション」がいつの間にかできるようになっていることです。

 

ときにはHow are you?の問いかけに対してI’m sleepy.やI’m hungry.、I’m nervous.などと返答したり、I’m fine. How about you?などと逆に面接官に聞き返したりする生徒もいるため、これに対してOh, you are sleepy / hungry, huh?、I’m sorry about that.やThat’s OK.などと瞬時に応答する訓練にもなります。

 

生徒のための対策でありながら、指導者よりも生徒の方がはるかに数が多いために、結果的には自動的に指導者の訓練となるのです。

 

 

英検の対策は授業にも生かせる。それがまた英検対策にもつながる

 

いよいよ本格的な面接内容が始まってからは、さらに高度な「指示文」や「設問文」を用いることになります。

 

特に高校生の多くが受験する準2級や2級の面接では、次のように少し長めの指示文が登場します。

 

Please look at the people in picutre A. They are doing different things. Tell me as much as you can about what they are doing.(準2級)
「写真Aに写っている人々を見てください。彼らは異なる動作を行っています。彼らが何をしているのか、可能な限り伝えてください」

 

Please look at the picture and describe the situation. You have 20 seconds to prepare. Your story should begin with the sentence on the card.(2級)
「写真を見て状況を説明してください。準備時間は20秒間です。あなたの話はカードに書かれた文章で始めてください」

 

こうした指示文は、英検の面接に限らず、生徒に何らかの描写を求める指示を出したいときや準備時間が何秒間であると伝えたいときなど、実際の授業内での言語活動の際に十分に活用できるものです。

 

ただ、これらの分かりやすい文章であっても、何もない状態でいざ自分で英作しようとすることは、指導者であっても(とりわけ初任者の方々にとっては)なかなか瞬間的には難しいものではないでしょうか。

 

だからこそ、この面接官役の経験、つまり繰り返しによる自動的な訓練から使える表現を手に入れておけば、授業での指示が出せるようになりますし、普段からこうした発言ができていれば、生徒にとっての英検受験の対策にも必然的に繋がるのです。

 

 

「設問文」としては、
Do you think eco-cars will be more popular in the future?(準2級)
「エコカーは将来より一般に広がると思いますか?」

 

Some people say that winter sports such as skiing or snowboarding can be dangerous. What do you think about that?(2級)
「スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツは危険なものであると言う人がいます。これについてあなたはどう思いますか?」

 

など、生徒に考えさせ、意見を述べさせる材料としても活用することができます。
授業で意見陳述の活動を取り入れる機会を設けておけば、これもまた必然的に英検の対策になります。

 

(なお、上記2つの設問文は筆者の考案であり、実際の試験や対策テキストなどから流用したものではありません。)

 

 

繰り返しになりますが、大切なことは、たくさんの生徒を相手に何度も同じ発言を繰り返すことで、面接官役のあなた自身がその英語をまず自分のものにすることができることです。

 

私自身、数えきれないほどの生徒を相手に何度も何度も英検の対策を行っているうちに、自ら「訓練しよう」という意志がなくても、しまいには何も見ないで面接官としての発話を暗唱できるようになりました。

 

そして暗唱の先で、生きた英語としてそこに感情を込めて生徒に問いかけたりするようにもなりました

 

繰り返すことで英文が定着し、発話力が上がるということを自ら証明することができたように思います。

 

 

英検の対策指導を通じた自動的な訓練は、あなたの英語力を向上させ、授業者としてのヒントと力を与え、さらには授業内容の拡充にまでも寄与してくれるのです

 

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