英語で授業するため(オールイングリッシュ)の戦略

英語で授業するための(オールイングリッシュ)の戦略

オールイングリッシュを実践するための戦略

 

前項(「英語で授業すること(オールイングリッシュ)のメリット」はこちらをクリック)で触れましたが、オールイングリッシュでの授業の最大のメリットは、「生徒を英語モードに出来ること」です。そのメリットを十分に理解したとして、これから授業を英語ですすめていこうとした場合、どのようなステップを踏んですすめたらよいのでしょうか?

 

大学の教職課程は全員履修しているでしょうが、オールイングリッシュで授業をするために訓練を受け、卒業前にマスターした人はほとんどいません。この状態で教職に就いたとたん、「出来るだけ英語で授業するように」と求められても、無理な話です。

 

もしあなたの周囲に英語で授業をしていて、生徒も前向きに授業に取り組ませることに成功している先輩の先生がいたとしたら、あなたは非常にツイています。その場合は、謙虚に「自分の授業を英語で進めていきたいが、まずは何から始めたらよいのか教えてください。」と頼むのが一番です。

 

でも残念ながらどこの学校にも、そのような優秀な先輩がいるわけではありません。また、あなたの勤続年数が10年を超えていたら、相手の方が気を遣って「いやいや、ベテランの人(あなた)に教えることなんかありませんから。」とやんわりと断られてしまうこともあるでしょう。

 

それ以前に「正直、自分の英語力に自信がないから、とても英語で授業をすすめることなんて出来ない」と考える人も少なくないかもしれません。生徒たちは「英語が話せる先生に英語を教わりたい」と考えているので、その前提が崩れることを極端に恐れているのです。

 

普段、絶対に語られない英語教員の本音部分です。職員室内では、お互いあまり触れられない部分なのですが、実際のところよくあることです。

 

笑い話で、「英語の教員を見つけるのは簡単だ。ネイティブの先生が職員室に入ってきて、真っ先に出ていくから。」という話を聞いたことがあります。初めて聞いた当時、妙に納得して「笑い話になってないかも。」とあまり笑えなかった記憶があります。

 

話を戻します。

 

結論から言うと、あなたがどんな学校で、どんな状況に置かれているとしても、「英語で授業をしてみたい。」と本気で考えて行動するなら、ほとんど未経験からでも2年程度で「いつでも英語で授業ができる」状態になることは、それほど難しいことではありません

 

「いやいや、そうは言ってもなかなかね…。」という人のために、一つずつ、オールイングリッシュでの授業を難しいと思わせている点を解消していきたいと思います。

 

 

ネイティブ並みの発音は無理だし、流ちょうに話せない

 

たとえあなたがネイティブ並みに流ちょうに話せたとして、それを授業で披露しても、それは生徒にとっては「馬の耳に念仏」にしかなりません。簡単にいえば、生徒の能力に応じて、スピードを落とし、使用する語彙も相当に易しくする必要があります。

 

中学2年生の英語の授業をする時、ネイティブの中学2年生に話すような語彙をつかって授業できるはずもなく、イメージ的にはネイティブの幼稚園生または小学1年生に指示を出すくらいの語彙でちょうどいいのかもしれません。

 

そう考えると、あなたが高度な言い回しや高い語彙力を駆使する必要など、これっぽっちもありません。理想を言えば、生徒が理解できるほんの少し上のスピードと語彙を選びながら進めていくことです。

 

 

何から始めていいか、分からない

 

授業における教師の発言や行為を分類すると、「指示」「発問」「説明」「ほめる(評価)」のおよそ4つに分類されるはずです。

 

  • 「指示」:Take a look at this picture.
  • 「発問」:What does this word “fast” refer to?
  • 「説明」:Fossile fuel has been widely used to generate electricity.
  • 「ほめる(評価)」:So close!

 

この中で、「指示」と「ほめる(評価)」に関しては、ほとんどの場合、定型表現で乗り切れます。「発問」もターゲットにしている文法事項を取り入れた表現を意識すればよいので、これが分からないというのは、教えられないことになりますから、心配には及びません。

 

そこで、私のおススメは、授業のウォームアップから導入までの部分をまずは「オールイングリッシュ化」することです。

 

もう一度、思い出してください。「英語で授業(オールイングリッシュ)」の最大のメリットは、「英語の授業の雰囲気を作れること」です。ですから、冒頭部分をオールイングリッシュにすることは、もっとも理にかなっていることになります。

 

加えて、定型表現ではない、本物の英語力が試される場面は「説明」の部分でしょうから、導入のところではこの難しい所をとりあえず回避することができます。(教師自身の英語力向上は絶対に必要ですので、続けてください。とりあえずの目標については、こちらをクリック)

 

ICT(Information and Communication Technology)「情報通信技術」の使用や、従来からの図・表・ボディランゲージなどを活用しやすいのも、導入部の特徴です。これらの視覚情報を頼りにすることにより、生徒達は教師の話す英語での授業の理解がより簡単になります。

 

導入部は、お笑いでいうところの「ツカミ」の部分です。そして視覚情報との相性が良いパートです。オールイングリッシュ化の第一ステップとして、導入部を薦めるのはこのような事情があります。

 

まとめとなりますが、「英語の雰囲気に生徒を引き入れることができる」「定型表現の割合が多い(ほとんど)」「視覚情報を活用しやすい」という3つの理由から、warm-upから導入部に至る最初の10~15分間をまずはオールイングリッシュ化してみましょう

 

さらに容易にするコツは、最初のパートにやることを定番化しておけば、初めてチャレンジする教員の負担を最小限にしながら、年間を通じてのオールイングリッシュでの授業が可能となります。

 

生徒も定番化することにより、安心感がありますし、たまにイレギュラーなことを取り入れると、効果が大きくなります。教師は、ここのパートが難なくこなせるようになると、「展開」「まとめ」の他のパートでも、「指示」「発問」「評価」など重なる部分はオールイングリッシュに移行することができます。

 

流れとしては、warm-upから導入部のオールイングリッシュが出来るようになったら、「展開」「まとめ」の部分での「指示」「発問」「評価」などに英語の使用を徐々に広げていく、順番です。

 

定型表現だけでは乗り切れない「説明」部分を残したとしても、授業の70%くらいはオールイングリッシュに問題なく出来ると考えています。(生徒の学習効果を考えて、あえて日本語で授業をすすめる選択肢ももちろんアリです)

 

次項(「英語授業のWarm-up~導入部をオールイングリッシュ化してみよう」はこちらをクリック)では、より具体的に説明します。

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