英語の文法を深く理解する

情報構造から文型を理解する1

英語の語順構造は、基本的に「話し手(書き手)の情報発信」と「聞き手(読み手)の疑問」が暗黙のうちに繰り返されることによって成り立つと述べました。

 

※別記事「英語は日本語の都合など知ったことではない③(語順の原理)」をご参照ください。

 

学校でも教える5文型も、実はその語順の視点から成り立ちを考えることができます。

 

5文型はご存じの通り、第1文型:SV、第2文型:SVC、第3文型:SVO、第4文型:SVOO、第5文型:SVOCです。

 

SVはすべての文型で共通している

 

まず、全てにSVが共通しているところから見てみましょう。

 

何もない状態から発話が生まれるためには、まずは話題の中心となるべき人やもの、つまり文の主語を提示する必要があります。

 

ですから主語Sを文のスタート地点に置きます。

 

あらゆる主語は動作を伴ってはじめてその存在を示すことになりますから、いずれの文型でもVがSに従う形で用いられることになります。

 

 

ちなみに日本語では
「僕は夕食を・・・」と言われたとき、続く動詞は「食べた」とか「作った」だろうと推測することができます。目的語が先に来る言語です。

 

しかし英語では
「I・・・」のように、Iに続く動詞がまるで想像できません。つまり英語は、動詞をまず明確に示すことで話の中心となる動作を早い段階で示しておきたい気持ちが働く言語なのです。

 

 

第1~3文型の基本

 

「Sが(は)」ときたら、「どうしたの?」と聞きたくなりますね。そしてその疑問に答えるだけで成立するThe sun shines.「太陽は輝く」などの文章を第1文型と呼びます。

 

第2文型はこれに「Sはどんな状態なの?」という疑問が加わり、その答えを「S=Cだよ」とSの状態をCで補うことで成立します。He looks happy.などですね。

 

※ここではSとCの関係を便宜的に「=」としましたが、「=」が必ずしも理解に易いわけではなく、状態や様子、場所などの説明をSに加えるものであるという認識が大切です。

 

第3文型は「何をVするの?」と、動作の力がはたらく先にあるものへの問いかけに「Oだよ」と答えることで成立します。Mr. Jones teaches English.という具合です。

 

 

第4文型は深みがある

 

ここでひょっとすると、第4文型について疑問を抱かれる方もいらっしゃるかもしれません。

 

Vとの結び付きが強いものを直接目的語としてVの直後に置くことで疑問と答えのやりとりがなされるのが第3文型であるなら、Vとの結びつきが弱いはずの「人へ(に)」をVの直後に置く第4文型はおかしいのではないかと。

 

その疑問を解決するために、まず第4文型の例文を挙げ、形を確認してみたいと思います。

 

たとえばJohn gave Mary a present.が分かりやすいでしょう。

 

主語の提示Johnで始まり、「ジョンがどうしたの?」に答える形でgaveが続きます。本来ならここでgaveと意味的に最も結び付きやすい「何を?」の問いかけがまずあり、a presentがそれに答え、最後に補足情報として「誰に?」の問に対してto Maryで答えるのが最もすっきりとした形、つまりJohn gave a present to Mary.(第3文型)となるはずです。

 

この場合、to Maryはあくまで副詞句という扱いとなります。

 

ところが第4文型では補足情報であるはずのto Maryが前置詞を排した形でそのまま目的語として、直接目的語であるa presentよりも前に置かれています。

 

これを説明する理由としては、第4文型自体が新しい文型だということがまずあります。

 

動詞giveはやはり目的語a presentを直後に取る他動詞であり、to Maryはあくまで補足情報として文末に加えられるだけでした。

 

ところが動詞の性質を考えたとき、giveは与える「もの」が必要であると同時に、与えるべき「相手」の存在も認めなければ動作自体が成り立たないことに気がつきます。

 

John gave a present.では文意が成立しないということです。

 

そこで「相手」も「もの」と同様に目的語として対等に認めることで、つまりSV+2つの同程度に重要なOとすることで文章を完結させられる文型を作ることが合理的だと考えられたのです。

 

単なる修飾語句でしかなかった副詞句(例文ではto Mary)は歴史的には修飾語句から目的語へと格上げされたわけです。

 

そもそも第4文型が生まれた背景にはそのような理由があるのですが、それは、第4文型を作る動詞は常に「相手」と「もの」を必要とする動詞であることを意味し、また同時に、前置詞を排して「相手」と「もの」を隣同士に置いたことで互いの距離を近く、密接にしたことから、第4文型それ自体が「相手」と「もの」の間に実際の所有関係があることを意味するようにもなりました。

 

John gave Mary a present.と言えば「相手」であるメアリーは「もの」であるプレゼントを実際に受け取り、所有していることになります。

 

第4文型を作る他の動詞を用いてJohn sent Mary a present.と言っても、メアリーはプレゼントを所有していることを感じさせます。
John taught Mary Japanese.であればメアリーは日本語の知識を所有していることになります。

 

逆に前置詞を用いてJohn taught Japanese to Mary.と言えば、一応日本語を教えはしたものの、実際にメアリーが日本語を学んだ(教えられたことを身に付けた)のかどうかということは分かりません。

 

他の単語が一切挟まれることなく、「人」と「もの」が隣同士に並べられる意味はそこにあります。つまり二つのOの間にはO(人)have O(もの)の意味関係があるという事実が含意されているのが第4文型であり、だからこそ二つのOの語順も、「人が(S)/持っている(V)/ものを(O)」を表す英語本来の語順に従って「人」+「もの」の順番になったのです。

 

二つのOだけでなくSVまで広く含めてとらえるならば、S cause O(人)to have O(もの)「Sは人にものを持つようにする」が第4文型の本質的構造であり、このことからも二つのOの語順が「人」+「もの」の順でなければならない理由が分かるでしょう。

 

こんな面白い話があります。ある英語のネイティブスピーカーに向かってThe alien jixweoaed me an interesting thing.「その宇宙人が僕に面白いものをjixweoaedした」と第4文型を用いて伝えたとします。

 

jixweoaedは存在しないデタラメな単語です。ところがその話を聞いたネイティブは、「動詞の意味はよく分からないがあなたは宇宙人から何か面白いものをもらったのだろう」と解釈するというのです。

 

つまり第4文型を認識した時点で、SがO(人)にO(もの)を与え、その結果O(人)がO(もの)を所有することになることを、ネイティブも認識していることがうかがえるのです。

 

(余談ですが、これは読解の一つのテクニックとして使えるかもしれません。第4文型だということは分かるが動詞の意味が分からない文章を見つけた場合、とりあえずその動詞に「与える」とか「所有させる」と意味付けしてやれば根源的には文意が把握できることになるからです。)

 

→次項「情報構造から文型を理解する2」へ続く

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