someとanyを正しく指導する

someとanyを正しく指導する

someとanyを正しく指導する

 

「いずれ矛盾がばれる指導をしてはいけない」、ということを私は強く主張していますが、生徒にとって矛盾を感じてしまう事柄の一つにsomeとanyの使い分けがあります。

 

それは次のような疑問に如実に表れます。

 

「中学生のときにsomeは肯定文で、anyは疑問文と否定文で使うと習ったのですが、Would you like some coffee?という文がテキストに載っていました。どうして疑問文なのにsomeが使われているのですか?」

 

 

疑問文においてanyが使われるのが正しいのであれば、なぜこのようなケースが存在してしまうのでしょうか?

 

これは「例外」などと無責任な言葉で片づけてしまって良い問題では決してありません。

 

someとanyの抱える重要な意味を理解せずに形式的な部分ばかりに目を向けて英語をとらえてしまうとこのような矛盾が生じます。

 

 

逆に本質的な意味を理解することができると、この問題は氷解し、矛盾を生まない指導を行うことができます

 

 

someとanyは文章の形式によって区別するのではない

 

中学生に指導するとき、someは肯定文で、anyは疑問文と否定文で用いる、と従来教えてきました。

 

はじめのうちは確かにそれで事足りるケースが多いのですが、様々な英語に触れていくうちに、まさに上記の質問にあるWould you like some coffee?「コーヒーはいかがですか?」のような文に生徒は出会い、その矛盾に戸惑ってしまうことになります。

 

 

someとany の使い方は、肯定文か疑問文か否定文かといった文章の形式によって区別されるのではありません。

 

someとanyには文章の形式以前に抱える重要な意味が存在し、この本来の意味にしたがった結果、someは肯定文と、anyは疑問文と否定文との相性が良い場合が多い、というにすぎないのです

 

意味が先に存在することで、文章の形式も決まってくるのだということをしっかりと理解してください。

 

ではそれぞれの抱える本質的な意味とは何なのか、見ていきましょう。

 

 

someは「実存性」

 

まずsomeについてです。someとは本来「実存性」という概念を抱える語です。

 

「いくつかの・いくらかの」という日本語訳で覚えるのが普通ですが、その裏で「実際に存在していること」が想定されていることを理解してください。

 

たとえば、I have some books written by the author.「僕はその著者の書いた本をいくつか持っている」と言うとき、それは「その本を実際に存在するものとして一定数有している」というのが正しい意味となるわけです。

 

そして実際に存在しているものについて述べるときに用いるわけですから、some は肯定文と相性が良いということになります。

 

 

anyは「非実存性」

 

一方、anyは「非実存性」という概念を抱えています。

 

someとは対照的に「実際に存在しているわけではない」ことを想定しているのです。

 

たとえば、I don’t have any books written by the author.「僕はその著者の書いた本を持っていない」と言うとき、それは「その本は僕の所有物としては存在していない」というのが正しい意味となるのです。

 

そして存在していないものについて述べているわけですから、any は否定文と相性が良いということになるわけですね。

 

 

さらにanyは、Do you have any books written by the author?「その著者が書いた本を持っていますか?」と疑問文で用いることができるのも、疑問を投げかけている人にとっては、相手が本を持っているかどうか定かではない、つまり質問者自身の中でその本が確実に存在しているとはとらえられていない「非実存性」が背景にあるからです。

 

この点で、anyは疑問文とも相性が良いということになります。

 

 

「存在するもの」という想定や期待の上で尋ねる疑問文にsomeを用いる

 

では、Would you like some coffee?について考えてみましょう。

 

someは「実存性」ですから、「コーヒーはいかがですか?」と尋ねている裏で、本質的には「すでにコーヒーは準備できていて存在しているのだけれど飲みますか?」というニュアンスを備えていることがイメージできるでしょうか。

 

コーヒーの存在を認めた上で、これを相手に飲むかと問うているため、疑問文であっても「実存性」のsomeが抵抗なく使われるのです。

 

また逆の立場でCan I have some coffee?「コーヒーをいただけますか?」と言う場合、レストランやカフェなどでは当然コーヒーはメニューにある、つまりその場に存在していることが想定されているためこの聞き方が自然なものとなります。

 

友人宅などの場合で同じ疑問文で尋ねるときは、someの抱える「実在性」ゆえに、相手(家主)はコーヒーを準備してくれるだろうという期待感を感じさせます。

 

 

一方、Do you want anything to drink?のようにanyを伴って聞く場合、「特に何か飲み物を用意しているわけではない(飲み物は今のところ存在していない)のだけれど、何かいりますか?(いるのであればこれから準備しますよ)」というニュアンスになります。

 

 

まとめると、someとanyはその「実存性」・「非実存性」という意味性質上、肯定文、疑問文、否定文の間で相互交換的に使われやすい傾向は確かにありますが、それはsomeが肯定文と結びつく、anyは疑問文と否定文と結びつくということがはじめから文章形式として決まっているわけではないということです。

 

本来はその意味に応じて両者を使い分けるものであって、文法的に肯定文と疑問文や否定文とを機械的に交換すべきものではないということですね。

 

 

someとanyを指導する際、このような本質的意味や文の形式との相性も踏まえて指導し、「実存性」と「非実存性」をイメージして正しく理解することができるように、適切な解説と音読によってその感性を身に付けさせ、いつか生徒に「話が違う」と言わせないようにしてください。

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