英語「未来表現」を分かりやすく指導する2

英語「未来表現」を分かりやすく指導する2

前項(「英語未来表現を分かりやすく指導する1」はこちらをクリック)に続き、ここではwill do について解説します。

 

will をより正確に指導するためにまず知っておきたいことは、これが法助動詞と呼ばれる種類の助動詞であるということです。

 

will をはじめとするcan、may、must、should などの助動詞は法助動詞と呼ばれ、「法」は英語ではmood と言い、つまり「話者の気持ち」を主観的に表すことを意味しています。

 

したがって、will などの法助動詞が用いられた文を読むときには話し手の気持ちや心情を探りながら読むことが大切だということです。

 

 

 

will は確信の度合いの高さ

 

さて、willは現在形の法助動詞で、「~する意志を現在持っている」という意味を持ちます。

 

ニュアンスとして、「必ず~する」くらいのかなり強い気持ちの込められた意味を持っていると理解してください。

 

名詞としてのwillが「意志・決意・意地・遺言」など、話者の絶対的な強い気持ちを表すことからもそれは読み取ることができます。

 

I will call you tonight.
「今夜君に電話するよ」

 

と言えば、「間違いなく電話するという確たる意思を自分は現在持っている」という意味であり、時間的には実際に電話をかける行動を起こすのは今夜という未来の出来事になるため、これが「未来を表すwill」と説明されるわけです。

 

「~するつもりだ/~だろう」という訳とともに指導することが多いのでが、これではあまり強い意志を感じられません。

 

実際、「~するつもりだ/~だろう」は実現性何%くらいだと思うかと生徒に聞いてみると、60%とか70%くらいという答えが圧倒的に多く返ってきますが、やはりそれは指導ミスと言わざるを得ません。

 

中学生を指導するとき、「話者の気持ちとして100%くらいのものすごく強い意志がある。これがwillの気持ち」だということを強調し、よってwillを用いた未来の基本は意思未来であるということをまずは理解させてください。

 

それが分かれば、これまた高校で学習する①自然未来、②習慣、③固執・拒絶、④推量、⑤その場の判断といった様々なwillの用法も理解できるようになります。

 

①I will be 14 years old next month.
「僕は来月14歳になります」

 

これは自然未来と呼ばれる用法です。
時の流れのように、放っておいても必ずそうなる未来のことですが、willが100%の実現性や確信の度合いをそのニュアンスに抱えていることを考慮すれば理解は容易です。

 

②I will often drink strong coffee in the morning.
「私は朝にはしばしば濃いコーヒーを飲む」

 

これは習慣のwillと呼ばれる用法です。
未来に視線を向けていないにも関わらずwillが用いられるのは、濃いコーヒーを飲むという行為が、必ず飲むという度合いの高い実現性によって習慣化されているからです。

 

③The door will not open.
「そのドアはどうしても開かない」

 

これは固執・拒絶のwillという用法です。
ドアが頑固にも閉ざされており、押しても引いても開けられないという強い拒絶感(意思)が感じられるイメージです。

 

④He will be waiting for you now.
「きっと彼は今頃君を待っているよ」

 

これは推量のwillという用法です。
「彼は待っているだろう」という自信なさげなあいまいな予測ではなく、なんらかの事情や状況を前提として、「間違いなく彼は待っているはずだ」という具合に、かなり度合いの高い確信を持って推量していることを表します。

 

It will rain tomorrow.
「明日は雨が降るだろう」

 

なども、ある程度の根拠があって「雨が降るのはきっと間違いない」というかなり自信のある言い方です。

 

⑤その場の判断を表すwillも見ておきましょう。

 

たとえば電話が鳴った瞬間に自分が出ようと思った場合に
I will get / answer it.
「僕が出るよ」
と言ったり、友達との会話中に「今度のパーティーに来ない?」と誘われてその場で行くことを決めたりした場合に
That sounds good. I will.
「それいいね。行くよ」
のように言うのがその場の判断を表すwillです。

 

計画立てた事柄ではなく、どちらかと言えば突発的な出来事であるためにbe going to doを用いることはできません。その場で自分の意思で「電話に出る」ことや「パーティーに参加する」ことを決めているため、willが用いられます。さらにここでも、「間違いなく自分が電話に出る」とか「絶対にパーティーに参加する」のような話者の気持ちがニュアンスに入り込んでいます。

 

 

以上のように、willとは「現在抱いている強い意志」であることをしっかりと理解し、「未来」という考え方だけに縛られず、多様な例文を用いてその意志の強さをつかませるように指導してください

 

 

 

will は多様な例文と理解を引き出すことができる

 

①アメリカのオバマ大統領の就任演説の中に、次の一文があります。
To those who would tear this world down-we will defeat you.
「この世界を破壊しようとするものたちよ、我々は必ずや諸君らを打ちのめす」

 

これが、「我々は諸君らを打ちのめすだろう」だとなんだか弱々しいですね。悪には屈しないという強い意志がうかがえるのがwillなのです。

 

②「~してもらえますか?」という依頼を表すWill you~?という表現があります。過去形の指導法の記事の中でも少し触れましたが、実はこの聞き方は、「あなたは必ず~する意志があるの?」のように相手の意志を直接聞いていることになるため、押し付けがましくてキツい印象があります。

 

だからあまり丁寧な聞き方とは言えないこともあり、これが日常会話では、たとえば親が子どもに「食器洗っといてくれる?」とか、上司が部下に「君、会議の資料印刷しといてくれるかい」のように、いわゆる上から目線的な使われ方をすることがあります。

 

それと区別して、「(あなたの状況的に)~することは可能ですか」という意味のCan you~?の方が好まれる場合が多いです。

 

相手の意志にズケズケと乗り込んでいくのではなく、相手の立場や状況を配慮した聞き方になるため丁寧な印象を与えるのです。

 

ただ、Can you~?は口語的色合いが濃く、兄弟や友達などの親しい間柄で用いられることが多く、またその親密度の高さから子どもに対して用いることも多く、必ずしもあらたまった言い方とは言えないことがあるのも事実です。

 

Will you~?であっても状況や言い方によってはCan you~?よりも丁寧になる場合があることも事実です。

 

過去形を用いることで相手との距離を取り丁寧さを増すという考え方も解説しましたが、依頼表現はどれが丁寧でどれが失礼な言い方かということを順位付けするのはなかなか難しいものです。

 

人間関係や性格、立場や状況や言い方によって変わるのも、人間的な言語の営みの表れなのでしょう。

 

 

このようにwillの持つ「意思」という性質の理解をきっかけとして、未来に限らず様々な用法や表現にまで入り込んで指導することができます。

 

willは頻繁に登場する助動詞でもあるため、先の大統領のスピーチなどはもちろん、あらゆる媒体から生きた例文を探し出すことが容易であることも指導の手助けになるでしょう。これを生かさない手はありません。

 

 

 

いずれ「矛盾」がバレる指導をしてはいけない

 

英語学習の中ではよく、「○○は□□に言い換えができる」とか、「○○と□□は同じ意味だ」のように、単なる書き換えや機械的な意味の入れ替えとして学習する(させる)ことがたくさんあります。

 

中学で導入するとき、前項の冒頭でも述べましたが、be going to doとwill doの関係もそのように「同じ未来を表すもの」として説明されることがあります。

 

最初の段階ではそうやって覚えてしまうのも分かりやすくていいのかもしれませんが、いつまでも「両者は同じものだ」という意識を持たせ続けることは危険なことです。

 

英語を学んでいけば、特に高校段階において、中学で「同じ」として習ったものが「実は違う」とか、「この場合にはどちらか一方しか使えない」といった矛盾に出くわして、その時にまた一から勉強し直さないといけなくなったり、「ややこしくてやっていられない」といったマイナスの意識を生んでしまうことがよくあるからです。

 

言語の世界では、「形の違うものは意味も違う」が原則です。

 

どうかそのことを心得て、「同じだ」「書き換えられる」など、いずれ矛盾が露見するような指導を避けるためにも、豊富な知識と例文を持ち出して、しっかりと身に付けさせるようにしてください。

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