英語「未来表現」を分かりやすく指導する1

英語「未来表現」を分かりやすく指導する1

「未来形」は無いことを心得る

 

未来を表す表現を指導するときに気をつけたいのは、「未来形」という言葉を用いないことです。

 

確かに、「現在形」、「過去形」の流れから「未来形」と言いたくなる気持ちは分かるのですが、「~形」というのは厳密には動詞の語形変化のことを指します。

 

動詞は三単現のsや~edや~ingなどを伴って語形変化を起こしますが、未来のことを表すため専用の形に変化することはありません。

 

したがって、形式的には「未来形」という語形変化は存在しないということになるのです。

 

また、意味的な観点からも「未来形」は無いことが分かります。

 

I am going to visit my uncle tomorrow.
「私は明日おじさんを訪ねる予定です」

 

このときのamは明らかに現在形であり、詳しくは後述しますが、あくまで意味として「明日訪ねる」という未来のことを伝えているにすぎません。

 

I will see the movie tonight.
「今夜はその映画を見るつもりです」

 

このときのwillも、元来は「~する意思を持っている」という意味の現在形の一般動詞のように使われていたものですから、やはり「今夜映画を見るつもりでいる」のは現在の意思であり、映画を見るという出来事が実行されるのが未来のことであるため、意味的に未来を表すと解釈されているだけなのです。

 

したがって、「未来形」ではなく、「未来表現」や「未来を意味する使い方」などがより正しい言葉の使い方ということになります。

 

 

willが助動詞であることはもとより、be going toも便宜的に助動詞として扱い、これらにdoを結びつけたひとまとまりの動詞部分を「未来形」として捉えることが一般的で、だからこそ分かりやすさを求めて「未来形」と解説している参考書などもありますが、それは動詞の語形変化と意味の観点から言えば厳密には正しくないのだということをしっかりと心得ておいてください。

 

 

be going to doとwill doは違うという認識を持って高校英語に繋ぐ

 

中学生に未来表現を導入するとき、その典型としてbe going to doとwill doを教えます。

 

従来これら二つの表現は授業の中では(ほとんど)同じものであるとして、書き換えの練習などを通じて両者を定着させることを目指して指導がなされてきました。

 

今でもそのような風潮は少なからず(ひょっとしたら多分に)あるのでしょう。

 

そのせいで、be going to doとwill doのどちらをどのような文脈で使い分ければ良いのかということを理解できていない生徒は多くいます。

 

中学校では基礎の基礎しか教えないという観点から、とりあえず形として両者を学習してきた生徒たちが、高校の文法の授業でbe going to doとwill doは違うと教わり混乱してしまうケースは多く見受けられます。

 

やはり、別項でも繰り返し述べているように、高校生になった途端にこれまでと教わったことが違うなどと思われてしまわないように、中学段階でしっかりと指導しておくことが大切であると言えます。

 

ではbe going to doとwill doはどのように異なり、どのように指導すればよいのでしょうか?

 

 

be going to doの形とイメージを大切にする

 

be going to doは、構造上は現在進行形の形を取っています。

 

先の例文を正確に解釈するならば、
I am going「私は行っている」
to visit my uncle tomorrow「明日おじを訪ねることに向かって」

 

ということになります。

 

おじを訪ねるという明日の動作にすでに向かっている様子をイメージしてください。

 

これは、現実的な動作として車に乗っているとか歩いているとかいうよりも、今の段階で少なくとも意識や準備としてその方向に向かっている、というイメージです。

 

おじを訪ねることはすでに決まっており、そのことを話者は認識しており、よって意識を向けたり準備を整えたりすることで、訪問という事象の実現に向けて流れが出来上がっている、そんな様子が連想されます。

 

たとえるなら、明日の訪問という出来事に向かって真っすぐに進む「動く歩道に乗っている」ようなものです。

 

ひとたび動く歩道に乗ってしまうと、あとは一直線に目的地(降り口)に到着します。

 

同様に、もう自分は「おじを訪ねるという未来」に一直線に向かう歩道に乗っており、その歩道の上で出発に向けて準備をしたり、わくわく気持ちが踊ったりしているのです。

 

歩道に降り口があるように、明日という予定の時間を迎えればおじのもとを訪れるというゴールがある。その流れの中にいるということなのです。

 

be goingで「~に向かっている最中」を表し、その先のto doという動作はいつ行われるのか、つまり動く歩道の降り口に到着するのはいつのことかを考えると、「まだ実際には起こっていない(たどり着いていない)出来事」であるため未来表現になる、ということなのです。

 

動く歩道に乗ってしまえば寄り道もできず、一本道だからこそどこに到着するかという目的地も明らかであるため、これを参考書的には「決められた予定」と解説するわけです。

 

補足ですが、上述のようなイメージが持てると、単なる現在進行形でI am visiting my uncle tomorrow.という未来表現が可能だということにも納得がいきます。

 

「現在進行形はたった今のことではないのか?」とつい「今だけ」に焦点を当てて考えてしまいがちです。

 

しかし、動く歩道に乗っているようにその行いの流れの中にいるとイメージすると、「実際におじを訪れるのは明日のことだけれど、今すでにそのために気持ちがわくわくしていたり、準備をしていたりする」、つまり計画→準備→実行の流れに乗っていることがわかります。だから現在進行形でも未来を表すことができるということですね。

 

また、be going to doが「計画」や「予定」を表すという解説だけにとらわれてしまっていれば、It is going to rain.「雨がふるぞ」のような英文が不自然なものに思えてしまいます。

 

「雨が降る予定だ」というのはおかしいからです。

 

しかし、あくまで「動く歩道」のイメージで向き合えたとき、It is going to rain.の解釈もすんなりと受け入れられるはずです。

 

空を見るとさっきまでは晴れていたのだけれど、どんどん雲が厚くなってきて雷もゴロゴロ鳴ってきた。そのような状況を目の当たりにすると「天気が、これから雨が降り出すという流れの中にいる、雨が降るという未来に向かっている」としっかり捉えることができますね。It is going to rain.が自然な英文であるとお分かりいただけるのではないでしょうか。

 

 

さらに、高校英語を考えるとき、次のようなケースも想定しておかなければなりません。

 

たとえばきれいな花を咲かせていた植物を、水もやらずにしばらく放っておくとだんだんとしおれ枯れていきます。

 

そのままにしておくと枯れ果てて死んでしまうのは明らかですね。

 

枯れ果てるという未来につながる動く歩道に乗って進んでいってしまっている様子が見て取れます。

 

そのような場合にも、The flower is going to die.とかThe flower is dying.「花が枯れそうだ」というふうにbe going to doや現在進行形を用いて表現することができます。

 

これを高校英語では、「変化を表す用法」として指導します。
be going (to do)は、未来のある地点に向かっていることを表すと同時に、その過程における変化にまで焦点を当てて、「~しそうだ」「~しつつある」という意味を表すことができる、ということです。

 

上で述べた「雨が降りそうだ」というのも、その意味では変化を表しているとも言えます。

 

いずれにしても、be going to doは「動く歩道のイメージ」をしっかりと持たせることで、参考書的に学習する「予定」や「変化」といった用法を理解させるようにしてください。

 

 

蛇足ですが、前置詞のtoは本質的には「向き合う」という概念を抱えています。そのイメージはここでも生きており、言うなれば動く歩道のゴール地点で、ついに「ある動作と向き合う」、つまり「動作が実行される」ことを表します。そのことからも、be going to doが未来表現として扱われる理由がよくわかります。

 

 

→次項(「英語未来表現を分かりやすく指導する2」はこちらをクリック)ではwill doについて解説します。

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